01

嫌な記憶ほど唐突に思い出す。

重たい足取りで校舎への坂を登る。昨日色々あって気力体力ともに0な私は腕を擦りながら学校へ向かった。

「あーくそ。昨日は厄日だ。ツイてない。」

愚痴をこぼしながら教室の扉を開けると、本物のナイフで教卓に刺さっているタコを見つけ足を止めた。

「どうかな?奈々緒、先生どう思うかな?」

この下らないイタズラを仕掛けた犯人は呑気に歩いて来る。

「さあね。あいつがどう思うか何てわかるわけないでしょ。」

「ふーん、じゃあ奈々緒は?」

どう思う?と、聞いてくるカルマの顔はとても楽しそうだ。

「食べ物を粗末にするな、悪趣味。」

「ハハッ誉め言葉だね。」

キッとカルマを睨んで席につく。後ろから怖いね〜何て声が聞こえた。

「おはようございます。...ん?どうしましたか皆さん?」

そんなものが待っているとは知らず。先生はいつも通り入ってくるとすぐにクラスの様子がおかしいことと教卓の上のタコに気づいた。

「あ、ごっめーん!殺せんせーと間違えて殺しちゃたぁ。捨てとくから持ってきてよ。」

先生が教卓のタコを見るとカルマはわざとらしく先生に声をかける。

「......わかりました。」

少し考え殺せんせーはタコを持ちカルマの席へ歩く。カルマは後ろ手にナイフを持っている。その顔は先程と同じように悪びれた感じがこれっぽっちも見受けられない。
すると殺せんせーは自分の触手をドリルのように回転させ、マッハ20で教室の窓から出ていったと思ったら紙袋とミサイルを持って帰ってきた。

「見せてあげましょうカルマ君。このドリル触手の威力と自衛隊から奪っておいたミサイルの火力を...」

すると先生はマッハで何かを作り上げた。カルマの口に咥えられたのは見るからに美味しそうなアツアツの出来立てたこ焼き。

「その顔色では朝食を食べていないでしょう。」

たこ焼きを吐き出すカルマに先生が一言。

「先生はねカルマ君、手入れをするのです。錆びて鈍った暗殺者の刃を...今日一日本気で殺しに来るがいい。そのたびに先生は君を手入れする。放課後までに君の心と身体をピカピカに磨いてあげましょう。」

こうして始まったカルマと先生の暗殺対決は......

1時間目・数学

背を向ける先生を打とうとしたカルマの手は触手で止められおまけに可愛いネイルアートをされた。

「奈々緒除光液持ってない?」

「学校にそんなの持ってくるわけないでしょ。」

4時間目・技術家庭科

不破さんの班のトゲトゲするスープがカルマによって捨てられた。と、思ったら先生は空中を舞うスープをスポイトを使いスープを助けた。さらに砂糖を加えてスープをマイルドにするおまけ付き。カルマはというと...
フリルのついた可愛らしいエプロン姿になっていた。

この時私はカルマのエプロン姿をこっそり盗撮しておいた。渚が呆れた目で見てきたが、これは何かあったときの取引材料になると思い保存。悪用するつもりはないから別にいいだろう。

その後もカルマは先生に仕掛けるが全て阻止された。ざまぁみろ。