「スズ久しぶり。元気だった?」
「うん。お陰様で、色々心配かけちゃってごめんね。」
へにゃと顔を緩める。昔と何も変わらないその様子にこれは現実なのかと彼女の頬をつねった。
「にゃにすふの...」
「つい。」
彼女は確かにそこに存在する。それがとても嬉しくて笑みが溢れる。だがその笑みも、
「あ、忘れちゃう前に渡しておくね。はい、家光さんからのお手紙です。」
その言葉で引っ込んだ。
嫌々受け取る。それは葉書サイズの封筒に蝋で封をされていた。刻印には父と文字が刻まれている。このふざけた感じ、間違いなく自分の父親がやったものだ。
「なんでしょう...柑橘系の良い匂いがしますね。」
封を開けると爽やかな香りがした。中に二つ折りにされた便箋が一枚入っている。
「は?」
あららとスズは口に手を当てる。それを開くと何も書かれてない真っ新な便箋であることがわかった。
「ああ、そう言うことね。」
踵を返して向かうは職員室。
「イリーナ先生。ライター貸してください。」
「へ?いきなりどうしたのよ。」
「何をするんですか?」
「炙り出し。」
後を着いてきた涼花を見てイリーナ先生が誰?と彼女を見るが説明は後回しだ。
炙り出しは紙に塩水やミカン等の汁で文字や絵を描く、その紙を火で炙ると書いた物が浮かび上がると言うものだ。
ライターで白紙の便箋を炙ると思った通り、文字が浮かび上がる。そこには、
“家の事は任せた 父より”
「なんて書いて...って、燃えてるよナオちゃん!!」
「いいの。こんなもの燃やしてしまえ。」
「いやいや、駄目だよ!」
消火活動の末なんとか火は消された。私としては全部燃えてくれて構わなかったんだけど、真ん中が燃えて穴が空いたしまったがかろうじて読めるそれを読み、スズは苦笑を漏らした。
「家光さんらしいね。」
「あいつ帰ってきたら覚えとけ。」
「家光さんも家光さんで忙しそうだったよ。あんまり責めないであげて。」
「...わかってる。」
「それであんた誰なの。」
「「あ。」」
イリーナ先生の存在を軽く忘れていた。
「すみません挨拶が遅れてしまいました。今日復学しました。藤塚涼花と言います。」
そう言って彼女はお辞儀をする。
「今日新しい生徒が来るって連絡なかったけど…」
訝しがる先生。そこで説明はあちらでと殺せんせーが職員室に入ってきた。
02
涙は自然に流れるもの。