01

そういえばそんなのあったね。

最近クラスが浮き足立っている。テストも終わって一段落ついたばかりなのにみんな固まって楽しそうに話をしていて、なぜだろうと不思議に思ったがしばらくして思い出した。修学旅行だ。

京都へ二泊三日。家族へのお土産はどうしようか。自分の知ってる限りでお土産候補を考えているとちょっといい?と片岡さん。

「沢田さん、修学旅行の班は決まった?」

…どうやら一番大切なことを忘れていたようだ。
スズがどうするのか、それから考えると答えようとすると肩に馴れ馴れしく手を置いてカルマは大丈夫だよと答えた。
何が大丈夫だ!と聞く前に机に一枚の紙が置かれる。

「奈々緒は俺達の班だから。」

「そんなこと一言も聞いてないんだけど。」

そこには当然のように私の名前が書かれている。

「だって奈々緒だけだよ。班決まってないの。」

涼花さんは別の班に入ってるよ。ともう一枚紙を取り出す。
うちのクラスは28人。班は四班までだから一班七人まで。確かにスズの班は全員決まっていた。
カルマとスズの名前を交換しようとするとその前にスズが来てまずは席が近い人と仲良くなるんです!と言われたので退路が絶たれる。

「そんなあからさまに嫌そうな顔しないでよ。」

つんつんと頬を指す指を逆方向に折り曲げたくなる衝動に駈られる。ただ冷静に考えてみればそっちの方がいい気がしたのでわかったと答えた。

「え、どうしたの?今日はやけに素直だね。」

「私はあんたと同じ班なんて死んでもごめんだ。スズを一人にするのも。だから入れ替えればいいと思ったけど寺坂は問題は起こしても揉め事は起こさなそうだから。」

あんたと違ってねと嫌味たっぷりに言うと目撃者までちゃんと対処するよとカルマ。違うそうじゃない。

「カルマ、今のうちに言っとくけどスズを変なことに巻き込んだら許さないからね。」

「奈々緒って本ト涼花さんだけ特別視するよね。」

「当たり前でしょ。」

歯牙にも掛けない物言いにカルマはむっとして、

「痴話喧嘩はそこまで、じゃあ班決めはこれでいいんだよね。」

「痴話喧嘩じゃないんだけど…」

片岡の言葉に奈々緒も苦虫を噛み潰したような顔をした。