02

堂々巡り。

祇園の奥は閑散としていた。
これは確かに暗殺に向いているのではないか、神崎さんの説明を聞きながら奈々緒は思う。通行人がいないなら関係ない人間を巻き込んでしまう可能性が低く、細い路地は身動きが取りづらい。

ただ短所と言えば細い道ゆえに人との距離が近くなる。つまりすぐ近くでカルマの意味ありげな視線を受ける。気が散って考え事に集中できないことだ。

身動きが取りづらいのも私たちの動きを制限し兼ねない。やっぱり広い場所じゃないとな。山とか森とか。山か、そう言えば最近師匠の所に行ってない。帰ったらお土産を持って行こう。手合わせしてもらって鬱憤を晴らしたい。

などと考えているうちに班から少し離れてしまった。
皆は神崎さんの話を聞いてこちらに気付いていない。逸れたら厄介だ。きっとカルマは私が迷子になったと吹聴するに違いない。と足を速めようとした時、誰かに腕を掴まれた。

「?!」

「ホントうってつけだ。なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ。」

髭を生やしたいかにも不良ですという人がいた。

「奈々緒…!」

「誰?」

「俺達は台無しを教えに来たんだぜ。」

うん。意味がわからないな。
腕を振り解き不良たちから離れる。ちなみに腕を掴んでいた不良に肘鉄を入れておいた。呻き声を上げ体をくの字に屈める不良を睨み後ろに下がる。
カルマがすっと前に出て庇うように立っているのでここはカルマに任せよう。カルマならこのぐらい大丈夫だ。

不良達が気を取られているうちに一番後ろにいた奥田さんを横の路地へと押した。訳がわからないという顔をする彼女に隠れてと一言。

目的が女子ならこうやって少しずつ逃がさなくては。そう考えているところでゴッと鈍い音。カルマが崩れ落ちる様が見えた。
隠れていた仲間が茅野ちゃんを捕まえてこちらを見る。下品で嫌な目で大人しくしろよと言った。その声に抵抗せず捕まる。このまま動いても茅野ちゃんが危険に晒されるだけだ。

また、またこうなってしまった。良かれと思った行動はいつも裏目に出る。もっと自分がしっかりしてたら、カルマ一人に任せず私も前にいたら、こうなることはなかったのではないか。

頭の中でエア師匠がまだまだだなと嘲笑した。

でもまだ大丈夫。相手はたかが高校生だ。
相手が一般人なら負ける気がしない。覚悟しろよ。