その後すぐに来た殺せんせーが来て事件は無事に解決。したように思えたけれど、沢田さんは床に手をついて一向に動こうとしない。
彼らに何かされたんじゃないかって騒ぐ僕達。カルマ君は沢田さんに駆け寄ろうとするが茅野の神崎さんに今はそっとしてあげてと止められた。二人に言われた通り沢田さんを残して建物から出る。結構時間はかかったが茅野たちに何があったのか話終わる頃には出てきた。
「奈々緒大丈夫だった?」
笑いたいのを必死に我慢してカルマ君は聞く。殺せんせーも僕らも止めようとしたが彼は止まらない。沢田さんの顔を覗き込もうとした所で沢田さんはパッと顔を上げる。
「っ〜〜〜〜やっぱり男なんて嫌いだっ!!」
目に大粒の涙を抱えて彼女はそう言った。そう言ったのに、なぜか僕に抱きついた。とりあえず僕も男なんだけど…
「渚はこのままでいてね。こいつとかあいつらみたいになったら駄目だよ。」
首に顔を埋めて沢田さんは絞り出すように言った。カルマ君からの視線が痛い。
一連のあらましを聞いて涼花さんは大変だったんだね〜と沢田さんの頭を撫でる。沢田さんは沢田さんで涼花さんの腰に抱き付いて膝に頭を乗せ、涼花さんにされるがまま。と言うより沢田さんが涼花さんに甘えている。
それは僕達にとって異様な光景だった。
「ナオちゃん昔っから男運ってものが滅法なかったから。」
話を聞けば好きな子、沢田さんに振り向いて欲しくて意地悪ばっかりする男の子に喧嘩っ早い兄弟子、ボクシング好きですぐ拳で語り合おうとする熱血漢と、最初はともかく沢田さんの周りはかなり個性の強い人達に囲まれて育ったようだ。加えて堀田君に今回の不良。そして多分カルマ君も。なかなかどうして、沢田さんは男運がないようだ。
「もうヤダ。山に帰る。」
「山に帰っても師匠の罠が待ち受けているだけですよ〜。」
「.........別の山に行く。」
「では戻ったら学校の裏山を散策しましょうか。だからそれまで我慢してくださいね。」
「..................うん。」
なんで山なんだよって突っ込みはさておき、やさぐれている沢田さんは涼花さんの慰めで多少は落ち着いたようだった。
「こう言うこともあって駄目なの。だからあんまり突かないでねカルマさん。」
頬に手を当てにっこりと彼女は笑った。僕達は、とくにカルマ君はその後ろにドス黒いオーラを感じて身震いした。涼花さんはそれを知ってか知らずか沢田さんに今日のカルマさんはどうでしたか?と聞く。
「...ニヤニヤ笑って気持ち悪かった。」
「あら。そうですか。」
「待って待って!」
青い顔で必死に弁解するカルマ君。
最初は面白くなかったけど反応が可愛かったからだんだん楽しくなってついやり過ぎたかも。なんて正直に思ったことを言う彼に殺せんせーは頬をピンク色に染め笑みを浮かべていた。
「ナオちゃん?カルマさんは今日嫌なことをしましたか?確かに楽しんでいた部分があるそうですが...それでもいつもと違ったでしょう?」
「............................................................うん。」
認めたくなかったのか長い間を置いて沢田さんは頷いた。
「カルマさんは今までの方と違うでしょう。今までもナオちゃんへの接し方を改めた方いましたか?」
「いない。」
「ではカルマさんへの態度を改めなければ、カルマさんは他の方と違いますからね。」
「うん。わかった。」
くぐもっているが確かに聞こえてきたその返事にカルマ君は嬉しそうに笑っていた。