04

素直じゃないんです。

女子が涼花が年上であることが判明してきゃいきゃいと騒いでいる頃、その頃男子の大部屋はと言うと気になる女子ランキングなるものを作っていた。一位になった神崎さんに当然だよな〜と談笑する彼らのもとにカルマが戻る。結果はわかりきっているが木村がカルマに気になる女子を聞くと意外や意外。カルマは奥田だと答えた。

「意外。沢田が出ると思った。」

なんで?と聞く前原に彼は怪しげな薬を作れそうだし自分のイタズラの幅が広がるからと答える。

「それに奈々緒は気になる女子じゃなくて可愛い女子だしね。」

奈々緒かわいーじゃんと煮オレシリーズを飲み彼は言う。そうだなと頷く前原をカルマは睨んだ。

「怖っ!カルマが言い出したんだろ!!」

「それとこれとは話が別。」

あっさりと手の平を返すカルマに渚は苦笑した。

「実際の所カルマは沢田のことどう思ってるんだ?」

「好きに決まってんじゃん。」

「そ、そっか。」

杉野の問いに恥ずかしがることなく断言するカルマはさすがとしか言いようがない。そんなカルマに菅谷がいつから好きなんだ?と聞いた。

「いつからだろ?最初は反応が面白くて弄ってただけなんだけどね。ほら奈々緒って目が離せないじゃん。気付いたらなんか好きになってた。」

「あーまあ目が離せないと言うか目立つのはわかる。」

それで?とさっきのことを忘れたように前原はカルマと肩を組む。

「カルマが好きな可愛い女子沢田と二人っきりになった話が聞きたいんだが。」

「別に。なんにもなかったよ。ただご飯食べてる奈々緒見て可愛いなーって思っただけ。」

それだけと答える彼に大部屋にいた男子はがくりと肩を落とした。

「所でそのランキングどーすんの?ってあれ、涼花さんに票入ってないんだ。」

「涼花に入れたって沢田にバレたら後が怖そうだから誰も入れてないんだよ。」

「はいダウト〜さっきの涼花さんが怖くて誰も入れてないんでしょ?」

カルマの言葉に心当たりのある者は皆視線を逸らした。だってなあと話す彼らにランキングを集計していた磯貝が男子の秘密だと話を終わらせようとした時、窓の外で一番知られてはいけない相手が傍受していたことに気付く。

場面は変わって女子部屋。奈々緒と涼花の話題からビッチ先生の経験談へと話題は変わる。意気揚々と話し出すビッチ先生は女の園に紛れ込む不届き者を見つけた。ビッチ先生の色恋話を聞こうとした不届き者は生徒達からの質問にたじたじになり逃げる。

捕まえて吐かせようとした女子と秘密を知られた男子が合流し旅館は大乱闘。騒がしい彼らを見て奈々緒はやれやれと溜め息を吐いた。

「スズ風呂入ろっか。」

「...そうですね。」

呆れる二人。まだ風呂に入っていなかったので騒がしいのはほっといていそいそと風呂の準備をする。そんな二人に奥田が近付いた。

「あ!あの沢田さん!!」

「どうしたの?」

「さっき、自由時間の時はありがとうございました!」

緊急して声が上擦る彼女に奈々緒は笑った。

「急に押してごめんね。怪我しなかった?」

「はい。沢田さんのお陰で助かりました。」

「そっか、なら良かった。」

風呂入りに行くから後でなんかあったら言っといてね。と奥田に頼む。踵を返して行こうとした彼女を奥田は引き留めた。

「わ、私も沢田さんと仲良くなりたいです!名前で、奈々緒さんって呼んでいいでしょうか?」

「もちろん。私の前の席怖かったでしょ。怖がらせてごめんね。愛美ちゃん、これからもよろしく。」

さんつけなくていいよ。と言ったがなぜか感極まって泣きそうになる彼女の耳にその声は届かなかった。