「奈々緒ちゃ〜ん、涼花ちゃんと何話してたのかな?」
「別に、なんだったいいじゃん。」
「隠し事は良くないよ。奈々緒は涼花さんにいろいろ話されてるんだから話しても良いんじゃない?」
それに涼花さんの方が秘密主義っぽいしと、そう話す間に席から教室前へと連行される。
修学旅行以来クラスの人との会話が少しずつ増えた。その大半はこの二人と話している。二人とも苦手なタイプだがあまりしつこく来ないのは助かる。特に莉桜はさばさばしているので接しやすい。まあ名前で呼ぶまで付き纏うと言われたときはさすがに引いたが…
スズが言うように確かに私は人付き合いが苦手だ。でも人と話すのは好きだ。こうなれるように動いたスズに感謝しないと。でも、
「スズの私的なことは何があっても絶対話さないよ。知りたいなら本人に直接聞いてね。」
それとこれとは話が別。いくらスズだって私について話しても私の“家”について話すわけがない。それと同じだ。
「別に話しても良いと思うけどな〜奈々緒ちゃんについては今まで赤裸々に話されてきたんだよ?少し話したって涼花ちゃんは怒らないと思うけど。」
「…話したってどうにもならないことがあるの。」
「やっぱり涼花ちゃんって訳あり?」
カルマに聞けば?と言うともうそんな仲になったの?と驚いたような顔で莉桜は言った。どう言うことだと聞く前にカルマを連れて彼女は行ってしまう。
本当にどういう意味だ。モヤモヤとした気持ちを晴らしたかったが授業開始の鐘に遮られる。
まあいいや。大したことでもないだろうと自分の中で落ち着かせ本日最後の授業に臨んだ。
転校生が来て四日目。上機嫌で教室に入ったスズは転校生を見るなり落胆した。昨日の姿とは打って変わって元の姿に戻った彼女を見て話すの楽しみにしてたのになと呟く。その頭を撫でて慰めていると開発者の分からず屋と頬を膨らませていた。
「開発者(もちぬし)とはこれまた厄介で…。親よりも生徒の気持ちを尊重したいんですがねぇ。」
退化した彼女を見て殺せんせーはそう言った。改良行為も危害と見なすし縛って壊れたら賠償しなければならない。これからは彼女を改良することも縛ることもできない。
「………攻撃準備を始めます。どうぞ授業に入ってください。殺せんせー。」
転校生に促され授業を始める。またあれが始まるのかと身構えていると彼女が出したのは銃ではなく色とりどりの花束だった。
「………花を作る約束をしました。」
開発者は彼女に施された改良のほとんどを消してしまった。でも、彼女は自分でそれらが必要と判断して消される前に隠した。
「殺せんせー、こういった行動を"反抗期"と言うのですよね。"律"は悪い子でしょうか?」
「とんでもない。中学三年生らしくて大いに結構です。」
「じゃあ律さんは昨日の律さんなんですね!律さんこれからよろしくお願いします。」
「はいっ!一緒に殺せんせーの暗殺頑張りましょう!」
花束を持っていたアームを手の形に変え律はスズと握手する。こうして暗殺教室に新たな仲間が加わった。