03

初めての。

アルバムを見てワクワクソワソワと落ち着きのない莉桜と優月は見ていい?と視線を寄越す。どうぞと目線で促せば歓声を上げて見始めた。

「お〜これがちっちゃい頃のナオちゃん。」

最初は楽しそうに見ていたがページを捲る度に段々複雑な顔になっていった。捲る速さも徐々に上がり、アルバムと顔を見比べるように何度も何度も顔を上げる。

「ナオ…ちゃん?」

「私だね。」

「…時の流れって残酷なんだね。」

莉桜の問いに頷けば哀れむような目で見られる。優月なんかはアルバムを見るのを止めて私の顔をじっと見ている。それもそのはず。アルバムにある写真の大半が私の泣き顔だからだ。

「んー?でも涼花ちゃんと再会した時もぼろぼろ泣いてたから…変わってない…のか?」

「この年で昔みたいに泣いてる方がおかしいと思うけど。」

すぐ横でアルバムを撮り拡散しようとしているカルマからケータイを取り上げデータを消す。電源を切ってすぐに写真を撮られないようにしてから返した。

「なんだかなー昔みたいに可愛いナオちゃんには戻れないの?涼花ちゃんも髪の毛ベリーショートで男の子みたいだしさ、おたくらいつ入れ替わったよ?」

カメラに向かいニッコリと、無邪気に笑っているそれを指差し莉桜は言った。

・ ・ ・

「これは?」

「山で遭難して救助された時の写真。」

「じゃあこっちの三枚は?」

「敬老の日にスズが師匠に湯飲みをプレゼントした時の写真と、その後私と雲雀のせいで湯飲みが割れてトラウマを植え付けられるまでの写真。」

「じゃあこの全員集合!みたいな写真は?」

「それは…スズがイタリアに行った日の写真。」

指差された写真を一個ずつ説明していく。それを彼らは楽しそうに聞いていた。
優月が指した写真を最後に、いくら捲ってもスズの姿は写らない。

「これがナオちゃんのお母さんだから…その隣がナオちゃんのお父さんか。どっちも色素薄いんだね。だからナオちゃんの髪の毛と目は茶色いのか。」

「お母さんはわからないけど、父方の高祖父かその上がイタリア人らしい。」

「へ〜確か涼花ちゃんのお父さんもイタリア人なんだっけ?この銀髪の人?」

「あーうん。それでその隣がその人の奥さん。んでその奥さんにそっくりなこっちにいる人が雲雀のお母さん。双子なんだって。」

ふーんと相槌を打つ優月。ただその顔は何かが引っ掛かるのか考え込むような表情だった。

「…こっちから順にナオちゃんの弟、ナオちゃん、涼花ちゃんに雲雀君なんでしょ?じゃあ涼花ちゃんのお母さんが抱っこしてるのは?」

「その子?スズの妹だよ。」

私の答えを聞いて優月は視線を写真から逸らした。様子のおかしい彼女に私達は顔を見合わせる。

「ねぇ、確か…修学旅行の時、涼花ちゃん一番下で甘やかされてるって言ってたよね。それに今日…涼花ちゃんはナオちゃんと一緒で年長者だって言ってたし、雲雀君は従兄弟の従弟だって、おかしくない?涼花ちゃんのお母さんと雲雀君のお母さんが双子だったら普通は従弟って言うよ。そもそも妹がいるのに一番下って言うのもおかしい。」

「それは彼らがお嬢様の養父母であり、実の両親ではないからです。」

優月の疑問に答えたのはスズの世話役のシャオイェンさんだった。