名前が何を考えてやがるのか、さっぱり分からなかった。
倒れる寸前、今にも泣きそうな声で俺が好きだと囁くように零した名前に少なからずどきりとした。
その動機が何に所以するものなのかは深く考えない事にしたのは、これからの旅のためなのか、それとも自分の保身のためなのか。
名前を病院に運び、数日。花京院が手負いになったのも重なり、脳内はかなりごちゃごちゃとしたものになった。
こんなもの、自分のキャラではない。自分はもっとすっぱりと物事を考えるべきだし、それがベストだ。
「クソ…ッ」
未だ思考が渦巻く脳内に蓋をするように少しだけ強く煙草を吸う。
それが喉にひっかかって咽せた時ににじんだ涙にとてつもない情けなさを覚えた。
それなのにコイツときたらこれだ。
最初の内は柱の影に隠れこちらの様子を見ていた。そこはまだ可愛げがあったのだ。
それなのに、二、三と言葉を交わせばどうだ。あの言葉をすっかり忘れたのだとでも言うように名前はいつもの調子に戻ってしまった。
いや、さっきみたいに隠れられても困るのだから、戻った事は悪くないのだが。
しかも花京院の病室に行ったらどうだ。花京院とは仲良くなっているし、ポルナレフとはじゃれ合っている。
思いのほか独占欲が強かった自分にも驚きなのだが、それ以上に名前が気になって仕方が無い。
アイツはこんなにも平然としているのに、もやもやと考え続けるのも馬鹿らしくて苦虫を噛んだような顔になってしまうのも仕方が無いだろう。
それを見た花京院はにまりと嫌らしく笑って見せた。
お見通しって訳かよ、と俺も花京院に薄く笑ってやりなんとかその場をやり過ごした。
← ◎ →