翌日。
カーテンから漏れる光で目が覚めた。承太郎は隣でまだ寝息を立てており、時計を見てもまだ朝早い時間だったようだ。
気にしていた腰のだるさも取れてどちらかというと体調は良い。絶好調と言えるくらいだった。
どうやら幸福感というのは健康にも影響してくるらしい。
適度に朝食を済ませて日差しが強い外にくり出る。
そういえばイギーはどこへ行っているのだろう。未だ帰らないイギーを思い浮かべる。
するとどこかから犬の鳴き声が聞こえたような気がした。
それだけ気にしていたのだろうか。仲間思いもここまでくると重症だな、と自分で自分に苦笑いをする。
「…今誰かが呼ばなかったか」
ふと承太郎がそう漏らす。私が聞こえた(気がした)のは犬の鳴き声で、誰かが自分を呼ぶ声なんて聞こえなかったからその言葉には首を傾げるしかなかった。
「いや、確かに聞こえた」
そう言って承太郎は振り返って目を凝らす。その視線を辿るようにして同じ所を見ると、雑踏の中からこちらへと向かってくる緑色の人影が…
「あ、もしかして…」
「か、花京院ンンンーーーーーーッッ!!」
真っ先にポルナレフが花京院に近付く。彼らはなんだかんだ言って仲が良いから、再会の感動もひとしおなのだろう。
その再会に思わずこちらも微笑んでしまう。
「さて、イギーがみなさんを連れて行きたいところがあるらしいですよ。」
そう言って花京院の背からひょこりと顔を出したイギーはどこか苦しげな表情をしている。
観察するようにイギーをゆっくり見回すと、傷を所々に負っているのが目に見えて分かる。白い包帯が痛々しかった。
「ってあれ、イギー…足…」
見ると、イギーは足に大きく怪我を負っているようだった。
どこかで他の犬と喧嘩でもしてきたのだろうかとも思ったが、イギーが他の犬に負けるような奴ではないのは分かっていることだった。
「スタンド使いと交戦でもしたか…」
「えっ」
アヴドゥルさんが漏らした言葉にゾッとするが、よく考えたら生還しているという事は彼はスタンド使いを倒したという事だろう。
イギーに駆け寄って頭を撫でたいところだがそうもいかないらしい。イギーに連れられて着いた先はDIOの館であったからだ。
「近いな」
「ああ」
ジョセフさんと承太郎が短く頷く。
気配が分かるという二人の話であるから間違いはないのだろう。
緊張で手が震える。またあの恐怖を味わうのだろうかと思うと足が笑う。
ああ、ああ、どうか。全員が無事に帰れるように。
そう願って、門扉をくぐり抜けた。
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