女の人が居た。薄暗い廊下にただ一人、泣きながらこちらに助けを求める女の人だ…。
しかし、人間というのは普段から見ている大まかな造形から逸脱した者を見ると嫌悪感を催すのは分かるだろうか。
絵画でもそうだ。例えば、とても写実的なイラストなのに口が大きく裂けているとか、首がありえないくらい長くのびているとか、左右の腕が逆に描かれているとか。

「もっと人体を勉強しなよ」

スタンドで固めた水を勢い良く発射して足へと着弾させる。
下半身の変化が無い代わりに威力も低下する技だが、それでも足の甲に穴を開けるくらいは出来るようだ。

「で、DIOはどこだ」



・・・



こうして来たのは大きな壁の前。この壁を破って階段を上がればそこにはDIOが待ち構えているという寸法らしい。
いや、もしかしたらポルナレフが先に着いてDIOと交戦しているかもしれない。
承太郎のスタンドで壁に大きく穴を開けると、薄暗かった室内に太陽光が煌煌と降り注ぐ。
その先には案の定ポルナレフが居て、階段の先にはDIOが居ると承太郎とジョセフさんは顔をゆるめた。

「安心するんじゃポルナレフ」

そう言って館の中へ入ると、丁度DIOが館の奥へ引いたところだったがそこを深追いするほど子供ではない。
まずはポルナレフの様子を見てからだ。
……って、おかしい。当然少し離れたところにアヴドゥルさんとイギーも居るものだと思ったのだが…。

DIOのスタンドを体験したというポルナレフの言葉を聞いて今までよりも心が引きしまる。
正体不明のスタンド、しかもかなりの能力であることは間違いは無いだろう。
今まで戦ったスタンド使いよりも狡猾でかつ聡明であろうDIOが操るスタンドだ、かなりの精神力…スタンドが発現していることだろう。

「…ポルナレフ、アヴドゥルさんとイギーは…」

一通りの話を聞いて、ようやく口を開く。
2人の事を後に回したのは……、嫌な予感がしていたからだ。

「こ…ここまではこれなかった……おれを助ける………ために…」

言葉を失った。覚悟は勿論していたがいざ本当になってしまうとこうも動揺するのかと自分自身に驚いた程だ。
他の三人も上手く言葉が紡げないようで、閉口している。
しかしここで足を止める訳にはいかないのがこの旅だ。2人の死を胸に進む以外の選択肢は残されていない。
泣く事も許されないのだ。

「陽が沈みかけています…」
「うん、急ごう」

一番最初に口を開いたのは花京院だった。これで2人の死を悲しむのには一度区切りを付けようと私も同じく口を開くが、少しだけ…私しか気付かない程度に…声が震えていた。

  
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