名前が居るとあらかじめ聞いていた屋上。
そこからバケツをひっくり返したときのような水音が響いた。
名前が居る屋上から水音なんて、そんな…。
いや、音に集中していたが目の前からDIOの姿が見えない。ああ、なぜ。
恐る恐るビルの方へ視線を向ける。ここからでは名前の姿を視認することは不可能…の筈だった。
ビルから滴り落ちる水は赤みを帯びていて、その屋上には黄色い人物が自慢げに立っている。
血の持ち主にしゃべりかけているのだろうか。
その体躯を抱え、首筋にゆっくりと指をうずめる。
ああ、ああ。DIOの影からぶらりと落ちる白くて華奢な腕は、髪は、足は。
見慣れたあの長く伸びたスカートは。
そんな、おかしい。何で、何でこんなことになってしまったのだろう。
大切な親友が、もう一人の親友の大切な想い人が。
こんな一瞬の内に死んでしまった。
「名前…私に1度でも血を流させるとは……私の仲間にしたい程には優秀な人材だったが……。まあ、所詮は女。肉弾戦へ持ち込まれては形無しだろう。…くく、肉弾戦が出来れば…の話だが?」
呟きながらビルから降り、こちらへ向かうDIO。
その手にぶら下げているのは正真正銘名前であった。
「そんな」
「馬鹿な…」
「次は貴様だ、ジョセフ・ジョースター。お前の血さえ吸うことが出来ればこのDIOは完全体へと進化できる……。銀の弾丸で出来た治らぬ傷も、少しは癒えるだろうよ……」
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