目が覚めただけでこれだけ人から喜ばれる事が今まであっただろうか。
ちなみに私は最悪な気分だ。
変な夢を見た。特殊な力を持って悪と戦う。
その夢は優しく、暖かいものだった。けれどそれは偽りなのだ。
その事実に気がつき、気分が悪いのだ。
声が出ない。
どのくらい眠っていたのだろう。声帯が弱っているのかもしれない。
何か書けるものが近くにないかと力の入らない手を動かすと手のひらに何かを握っていることにきがついた。
結構な厚さの紙だ。それは一度だけ夢の中で触った事のあるポラロイドの紙のような
(あ…)
手に握られているのは一枚の写真。旅の仲間が一緒に写っている。
なら、そんなものが手の中に握られているということは。
(私、もしかしてあの時死ななかったの…?)
DIOに弾をよけられたのだ。
どうやってかは見当もつかない。しかし、いつのまにか傍に居たDIOに心臓を抜き取られたのだ。
『フン、やはりな』
意味深に呟かれた言葉の意味は私にもすぐ分かった。
取り出されたはずの心臓がDIOの手には無かった。私が、この世界の人間ではないことを証明するようだ。
DIOは私がこの世界の者ではないという見当がついていたのかもしれない。
きっと、情報を調べてもヒットする人物が居なかったからだろう。
血液こそ出るものの、それもすぐに蒸発するかのように無くなっていたかもしれない。
そこに残るのは謎の水だけ。そういうことになってしまうのだ、この世界では。
いや、しかし胸を見ても傷跡ひとつ見当たらない。その上しっかりと心臓も収められている。
じゃあ、だというのならば…
ここは現実…元の世界なの…?
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