結論から言おう。ここは私が元居た世界。
承太郎なんて人間存在しないし、スタンドだって無い。
声は依然出ないままで、DIOに捕らえられたときに呟かれた言葉を思い出した。
それは、もしかしたらこういう事だったのか。
あの時承太郎を殺したら、その後に私も殺されたのだろう。
その少しの時間差で私の声帯が摘出されるかどうかが変わったのかもしれない。
治療の最中で声帯に悪性腫瘍が発見されたそうだ。遺伝で、腫瘍が出来やすい体だったらしい。
声帯の摘出がされたとの事だった。
承太郎との出会いの歌が歌えなくなってしまうのはとても残念に思えた。
自殺未遂の理由は家庭が崩壊したことにあった。
父が他界したことで母はおかしくなり、宗教にはまり、勧誘だといって男の家に入り浸るようになっていた。
全て献金するからと食費もままならず、ついには家まで売り払うと母が言い出したのがきっかけだったように思う。
彼女は男の家を転々としていたからよかったのだろうが、私はそうではない。
私のことは本当に視野に入れても居ない、父との思い出を大切にしようともしていない。
母を殺してしまおうとさえ思えた。そんな自分が嫌だった。
部屋に飾ってあったモデルガンは全て売り払ったがろくな金にはならなかった。
人生を辞めようと思った。
瀕死の状態で打ち上げられていたのを発見した人が病院と警察に通報、なんとか一命をとりとめた。
これから先の人生はどうすればいいのだろう、このままではお先真っ暗ではないかとも思ったのだが、なぜか私にはパトロンがついたらしい。
なんのだよ、といわれたら私も知らされていない。ただ、この波乱万丈な人生を見かねただけかもしれない。
それでもある程度の金の工面ができたのは大きかった。
発声器を購入して、食道発声法も習得した。あれから普通に大学へ入り、普通に就職をした。
あの頃の写真はちゃんとアパートに飾って、時折思い出す。
あの非日常を日常にしたかったと。
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