「承太郎、この女性は?」
なにやらド派手な格好をしている集団の元に連れてこられた。
若い人達に混じって初老と思しき男性が承太郎に問いかける。
いつの間にか離れていた手を前で組んで承太郎の後ろに隠れる。承太郎は多分それに気がついていたのだろうけれど、それよりも彼らを説得する方に神経を費やしていたのだろうと思う。
「拾った。スタンド使いだが無知だ。このまま放っておくといつDIOが目をつけるか分からない。」
殆ど私を放置で承太郎と多分その仲間達だと思われる人達が話をしている。
途中から何を話しているのか分からなくなったのは英語がどんどんと難しくなったからだろう。
日常会話程度なら私もリスニングやトークも出来ると思ったのだがそうでもなのだろうかとこれからの生活が一気に不安になる。承太郎も日本人離れした顔だが、他の人達は外国の人だろう。…多分、きっと…
というのも承太郎が承太郎だからもしかしたらこの中に日本人が居ると言われてもどこか納得してしまいそうなのだ。
ぼんやりしている内に話がついていたのか、彼らは私を一点に見つめている。
話の流れを聞いていなかったとは言えないが、このままだと困るので承太郎に助けを求めるように視線を投げかけると彼は呆れたように目を細めて私の背中を押す。
「自分で自分の名前くらい言いな」
聞き慣れた日本語が耳になじむ。私はその意味を一拍遅れて把握して、それからあわあわと口を開ける。
普段はこんなにとろくさくない筈なのだが、やはりどこか緊張しているのだろうか。
「名前です。名字名前…。あ、あの…私が同伴してしまっていいのでしょうか。」
おずおずと言うと、周りの人達は総じて苦く笑った。一体何が起きていたのか、さっきの流れをしっかりと見ておくべきだったと公開する。
「良くは無い…が、承太郎が頼み込むなんて滅多な事じゃあない。けど君は女の子だ。戦いの覚悟はワシたちよりずっとしていてくれ。命の保証は出来ないからの。」
背筋がひやりとする。急に命の保証だなんて、平凡な人生を送っている筈の私には想像もつかないし簡単には出来ない。
(…て、言っても私もう一回海で溺れ死にかけてるんだった。)
一度死んだようなものだと思えば気持ちも少しは楽になる…なってると思わないとこれから私は路頭に迷う事になる。
ごくりと生唾を飲んでから老人に小さく頷いてみせた。
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