じりじりと肌を焼き尽くすのではないかというくらいの日光に嫌気が差す。
あまりの熱に先ほどから胃液が何度か逆流しているが、喉でどうにか押しとどめている。しかしそれが通用しなくなるのも時間の問題かもしれない。
顔は布で影になっているから他の仲間達には多分バレていないが、かなり顔の血の気も引いている自覚がある。
もしかしたらスタンドが魚だから特段日に弱くなっているのかもしれない。
それに最近は食べてもあまり物が消化されずに、皆が居ないところで戻すという事もよくあった。本格的に体にガタがきている。
急な環境の変化や、人の生死に関わりストレスがいつの間にかかなり蓄積していたのだろうと思う。倒れてしまう前に誰かに報告のひとつくらいしておかないと、急に倒れられたらよっぽど迷惑がかかってしまう。
「それにしても暑いぜ…見ろよ、気温が50℃もあるぜ」
ポルナレフが手に持っている温度計を私たちに読んで聞かせる。
50℃、と詳細な数字を聞いてくらりとめまいがする。ラクダから落とされないように無理矢理にバランスを取って落ちるのは防げたが、余計に脳みそが揺らぐ。
滝のように流れ出る汗はスタンドを使っているのかと思われても仕方ないかもしれない。が、今はスタンドを出す程の精神力すら無い。
「なに、今の時間が一番暑い時間じゃ」
ジョースターさんがちらりと時計を見てから、まるで信じられないものを見たかのような顔をした。
「八時…?承太郎、お前の時計はどうじゃ」
承太郎の手持ちの時計もジョースターさんと同じような時間を指していたようだ。
今は午後八時。普通ならばもうとっくに日が落ちているはずだとジョースターさんは言う。
「まさか、日は沈んでないじゃないですか。あはは」
冗談やめてくださいよ、と笑うも花京院の時計も同じ時間を指しているらしいとなれば本当にその時間なのだろう。もしかして、と嫌な予感が全員の脳裏をよぎる。
「まさか…ッこの『太陽』がスタンドッ!」
暗転
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ふと目が覚めるともう空は墨を垂らしたような漆黒で染まっていた。
起き上がろうとするも、私は寝袋に寝かせられていたようでうまく起き上がれなかった。
チャックを少しだけ開けて起き上がるとみんなはごはんを食べているようだった。
倒れてしまう前に報告しようとしていたのに、敵スタンドの前でおめおめと倒れてしまうなどと酷い失態だ。
立ち上がると足が少しふらついたが、それ以外は体も軽くてお腹もすいていた。砂漠に吹く風が冷たくて、ひとつ身震いをした。
「名前、起きたか。」
承太郎が一番にこちらを振り向く。それを聞いてごはんをついでいた花京院やジョースターさん、ごはんを口に含んでいるポルナレフがそれぞれにこちらを振り返った。
私はなんだか申し訳なくてその輪の少し外側で立ち止まる。
「敵スタンドの前で倒れるなんて失態犯してすみません。女だからとかそういうのじゃあなくて、私の精神力の問題で起こった事です。これからは無いように努めたいですが、これでメンバーを外すと言われても私に拒否権は無いです。」
本当に申し訳ありません、と頭を下げると直後にポルナレフの笑い声が降ってきた。
曲がっている私の背中をバンバンと引っぱたいてしょうがねえよなあ、と。花京院とジョースターさんはごはんを新しく私の分をついでくれた。それはいつも私が無理をして自分でついでいる量より少し少ない、私にとっての適量だった。
承太郎はそれを見てまた不敵に笑っている。私は何か考えすぎていたんじゃあないかと、嬉しさと不甲斐なさで溢れる涙を袖口で拭って、花京院お手製だという食事をいただいた。
それから水を渡されて、水素を入れてみるといいと言われた。溶けないんじゃあ、と言ったのだが少し圧力をかけると良いと言われた。何でも体にいいらしい。他の皆にも同様にしてやると特にジョースターさんとポルナレフに喜んでもらえた。
その水が少しだけしょっぱかったのは私の涙なのだろうか。
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