適量の食べ物を腹に収めるのはこんなにも心地がいいのか、と思った。
砂漠の夜はとても冷えて、学生服を着ている私たちは正直ひとたまりもないのだが、承太郎や花京院、ポルナレフは少し動けば暖かくなるような体らしくさほど苦でもないと笑って私に話してくれた。

という事は私だけがこんなに寒いのかとたき火のそばで暖をとりながら思う。何層にも重ねた絵の具のようなどこか混沌とした空に煌々と光る橙はそれだけで人に安心感をもたらす。
手に反射する橙はそれだけで暖かく、緊張を常にしておかないといけない場でありながらもどこか私たちを癒してくれているようで、倒れるまで睡眠も碌に取っていなかったのに少し意識に靄がかかるようになってきた。

手にもつホットココアはいつの間にか湯気が消えていて、その水面をぼんやり見ていた私の手からするりとそれは抜き取られた。

「おい、寝るならちゃんと寝袋で寝ろ。」

ため息まじりに落とされた声は呆れ返っているように聞こえる。私はその声の元を目で追って姿を確認する。
いや、本当は姿を確認するまでもないのだけれど。

「ありがとう、でももう少し起きてるよ。今寝たら……なんていうか、思い出しちゃう気がして」
「……そうか」

承太郎は私の隣に腰を下ろして無言を貫く。
でもその無言が心地いいと、彼の隣なら眠れそうだと思えた。

  
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