運命の、別れ路。
深夜零時を超え、まぶしい街灯の下で一人の女が俯いていた。
港区の公園の一角。
雨は止み、水溜りがそこかしこに散らばっている。
誰も、彼もが、彼女の存在に気づかずに通り過ぎ、都会の風景へ現れては消えていく。
これでよかったのか、何度も心のなかで反芻し、一つの答えを出した。
〈私は、……彼の『幸せ』を心から願っている。〉
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午前四時の異邦人