▼ La scomparsa del nemico.

俺がそこに到着したのは、あれからだいたい1時間ほど後のことだった。
銃声が響いてることからしても、どうにもまだ、決着はついていないらしい。

ボスが居そうなところへ行く途中、倒れている何人かの見覚えのある顔に心を痛めつつ足は止めずに進む。
屋敷内からしても、かなり激しい銃撃戦だったことは解るし…。
自分が育てていた奴らとなれば、当然俺も人間なのだから、心は痛む。



「なるほど、ここか。」



歩いていると、多少雰囲気の変わった部屋に辿り着く。
恐らくはここがボスの部屋だろう。
人の気配は、確かにある。

一旦目を閉じて、ゆっくりと開き、そしてドアを開けた。
それと同時、だろうか。
激しい銃声が鳴り響き、無情にも幾多の弾丸が撃ち込まれる。



「ボンゴレの死神もざまあないねぇ。どんな奴でも人間なんだ、銃弾が撃ち込まれちまえば死んじまうよ。」

「まあ、そうネ。俺だって人間なんだからそりゃ死ぬわあ。」

「ッ!?」



撃ち込まれる、とは言ってもこっちだってそんな簡単にやられるつもりはない。
数分と保たない幻術で作り出した俺の幻影に撃ち込まれたそれは、まあはっきり言えば通り抜けていた。
撃ち込まれて死んだようにはしたけど。

落ち着いた瞬間に姿を現せば、マリーナのボスは驚いたように目を見開いた。
あ、俺も驚いてるよ。
まさかマリーナのボスがヤマトナデシコよろしく、可憐な美人な女性だとはさすがに思わなかったし。
美人を殺すのはちったあ抵抗あるが…まあこいつらがやってることを考えりゃ、殺されても仕方ないわナ。

予め出しておいたキャロルで周りの雑魚どもを制圧し、ボスと一対一で対面。
視線を動かせば、ボスの後ろの隅にコナンくんの姿はあった。
死んではなさそうだな。



「言い残すことはあるか?美人さん。」

「そんなもの…あるわけないね。こちらが負けるとは思っちゃいないわ。」

「そ。まあ実力を解ってない奴は自分の首を絞めるだけだし?好きに死ねや?」



マリーナのボスも匣を開口し、大空属性の匣動物、ライオンを横に並べる。
あちらさんも戦闘準備は整ってるってわけね、なるほど。

コナンくんがどれほどの量の睡眠薬を嗅がされたかは解らない。
致死量ではなかったとしても、まあそのままじゃ危険だし…これを見られるのもちょっと困るから…。
静かに早急に、これを終わらせないと。



「かかってこいやクソビッチがァ!」

「静かになさい青二才!」







おい誰だよ静かにって言ったの。
俺だわ。
言ったの俺なのに、自分のテンション上がって叫んじゃったよ。
馬鹿じゃん。

あれから早急に争いを終わらせ、マリーナのボスは事切れてしまった。
美人短命とはよく言う。
こいつの場合、ただ自分で自分の首を絞めただけじゃないか。

ポケットから取り出したタバコに火を灯し、コナンくんの意識が戻っていないことを確認する。
そしてタバコを吸うことで行う呼吸運動を繰り返しながら、自身の手に飛び散った自身の血をジッと眺めていた。

こうして怪我を負い、そして、相手の血を浴びるといつも思う。
俺は守護者よりも、やはり暗殺者の方が向いていたのではないか、と。



「守護者の名の通り、俺は暗闇の奥底深くに沈んじまえば良いんだよなあ…。」



コナンくんを見ながら、そう呟く。

彼を早急にシャマルの元へ向かわせた方が良いのは百も承知だが、なんとなく、俺が触れてはいけないような気がした。
血に汚れた手で触れてしまえば、例えコナンくんが敵の立場であったとしても子どもを汚してしまうだけ。
そう思うと、俺が運べるような気持ちにはなれなかった。

雑魚は片付け終わっているらしく、屋敷内はすでに静けさを取り戻している。
もうすこし待てば部下も来るはずだ、そいつにコナンくんは任せよう。



「…コナンくん。あんたは、何も知らないままでいろよ。それが身のためだ。」



そう言い残して、部屋を出るためにコナンくんに背を向けた。


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