※西宮視点

加茂君に恋をしている同級生のナマエちゃんはいつも加茂君に好かれているかどうかばかり気にしている。

どうみたって加茂君はナマエちゃんが好きだし、好きじゃなければ二人でお出かけなんてしないと思うのに、ナマエちゃんは自信がないようだ。

「も、桃ちゃん!か、加茂くんから写真送られてきた!『ミョウジと一緒に見たかった』だって!」

ナマエちゃんに見せられたスマホの画面には、薄雲の浮かぶ青空に虹がかかった写真が映っていた。

「加茂君、こんなの撮るんだ……」

足掛け三年も同級生をやっているけれど、加茂君が何か写真を撮るところは一度も見たことはなかった。コーヒー好きなところからコーヒーの写真なら違和感なく受け入れられたけど、サブカル女子が好みそうな空の写真には少し引く。

「桃ちゃんのスマホにはきてない?」

「きてないから安心して。絶対ナマエちゃんにしか送ってないよ」

「本当?嬉しい……どうしようこの写真。わたし男の人から写真送られてくるの初めて!加茂くん、どんなつもりで送ってきたのかな?」

「まぁ、そんな写真を送って『一緒に見たかった』なんて理由は一つしかないでしょ?」

「本当にわたしと見たかったんだ……」

「惜しい」

瞳を潤ませ、スマホを大事そうに胸に抱えるナマエちゃんは一体いつになったら確証を持つのだろうか。普通空と虹の写真なんて好きな相手にしか送らないことを。


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