Just before my life changes

「ん…」

瞼の向こうの明かりで目が覚め、ゆっくりと瞼をあげる。
目の前には広がるのは何だかお洒落な天井。
あれ、私の家の天井ってこんなだったっけ。いやいや、違う違う。そもそも私は出張でHLに来て…。

「っ!」

目をぱっちりと開け飛び起きる。
そうだ。私は主張でHLに来て、そして騒ぎに巻き込まれて…、私の手から妙な液体が出て…。あぁ…、しっかりと覚えている…。思い出さなければ良かった。思い出したくなかった。あんな妙な出来事は忘れたい。
いや、それよりも。

「此処…どこだろ」

出張の為ホテルの予約はとったが、こんな、お洒落な天井に広過ぎる部屋。そして高そうな家具にふかふかなベッド…こんなお洒落で広いホテルの予約は取っていない。
では此処は本当にどこなのだろうか。治安が悪いHLに知らぬ間に、知らぬ部屋にいるというこの状況は正直凄く怖い。
私は今どうするべきなのだろうか。此処から出た方がいいのか、それとも此処にいた方がいいのか、全く分からない。
そんな状況で不安に駆られていると、大きな扉が開き外からもの凄く糸目の少年が入ってくる。

「あっ!目覚めましたか!...クラウスさーん!スティーブンさーん!目覚めましたよ!」
「えっ…あ、あの…」

そういえばこの少年の声、何処かで聞いたことがあるような。

「あっ、突然部屋に入ってしまってすみません…でも目が覚めて良かったです!体調の方はどうですか?」
「あ、だ、大丈夫です…。すみません、もしかして私、ご迷惑をお掛けしてしまいましたでしょうか…?」
「迷惑だなんて!倒れた貴女を勝手に僕たちが此処に連れてきただけなので」

倒れた私を態々此処まで運んで連れてきてくれたいうことは、悪い人ではないようだ。にしても倒れたって…、そう言えばあの騒ぎに巻き込まれて、異界人に襲われそうになったところから記憶がない…。きっとそこで意識を失ったのだろう。
って、今こんな所でゆっくりしてる場合じゃない。

「あ、あの、助けてくれてありがたいんですが、私仕事に行かないといけないのでこれで失礼します!」
「えっ?!ち、ちょっと待ってください!」
「本当にすみません。また後でお礼をしに来ますので、これで失礼します」

これから取引先の方と打ち合わせに行かなければならない。きっともう打ち合わせの時間はオーバーしている。取引先の人にどうやって謝ろうか。
そうして、少年には悪いが軽くお辞儀をし椅子の上に置いてあったバッグと上着を手に扉に手をかけたその時、先に扉の向こう側から戸を引かれ、ドアノブに手をかけていた私も引っ張られそのまま扉の向こう側にいた人物にぶつかってしまう。

「わっ…、す、すみません!」
「いや、こちらこそ。それよりもミス・ミョウジ、一体どちらへ」

顔を上げれば目の前にはとても背が高く、ガタイのいい男性がおり思わず少し驚いてしまう。容姿は少し怖いものの何だか言葉遣いがとても丁寧で紳士的故に怖いという印象はすぐに消し去られてしまった。あれ。というかこの人、何で私の名前を知ってるんだろう。

「あ、あの、何故私の名前を…」
「ミス・ミョウジには悪いが、貴女の免許証を見せてもらった。貴女の任意もなく誠に申し訳ない」

本人の許可もなく身分証を確認するなんてなんて無神経なことをするのだとうか。普通だったら此処で問いただすなり、警察に報告するなりする所だが今はそんな時間はない。

「本来でしたら何故勝手に身分証を拝見したのか聞く所ですが、今は急いでいるのでやめておきます。では仕事がありますので、私はこれで」
「いや、少し待ってはいただけないだろうか」
「何故でしょうか」

「君に話があるんだ」

大きな人に引き止められていると、扉の向こうから又も背の高くて頬に傷がある男性が訪れ私に話があると言ってくる。

「話…ですか…。あの、申し訳ありませんが、私はこれから仕事に行かなければならないんです。また後日でもよろしいでしょうか」
「それじゃあ仕方ないか…」
「では、後日話すというのはどうだろうか」
「はい。それで大丈夫です。仕事が終わり次第また此方にお伺いさせて頂きます」
「ではこれを。仕事を終えたら此方に電話を」
「分かりました。ではまた、後日。」

大きな人に電話番号の書かれたメモを受け取り頭を下げる。何の話かはわからないが、今はそんなことを聞く余裕もない。兎に角急いで行かないと。

「ではミス・ミョウジ、急いでいるようだし良ければ仕事先まで送っていこう」
「えっ、いいんですか?」

ということでこの大きなの人が気を遣ってくれて、この大きな人の執事さんに打ち合わせ場所まで送って行ってこらうことになった。
執事さんがいるって一体どんなお金持ちの人なんだろう。それにしてもこの執事さんも何だか個性が強い人だ。全身と言っていいほど体に包帯が巻かれているのだから。あ、そう言えばあそこにいた人達の名前を聞くのを忘れてしまった。それに自身の名を名乗るのも忘れてしまうだなんて…。何故こうも人は時間に追われると焦ってしまうのだろうか。焦らなければ名前を聞くのも名乗るのも忘れなかったというのに。
そうして一人悔や見ながら取引先の人に謝りながらこれから向かうという電話をしていればあっという間に打ち合わせの場所に着き、執事さんに軽くお辞儀と御礼をし急いで建物の中へと入る。





取引先の人は矢張りお怒りで何度も頭を下げ謝罪の言葉を告げながらも打合せは何とか終わりホッと安堵する。きっと日本に帰ってから上司にも酷く叱られるんだろうな…。そして仕事の量を増やされて…、あぁ、考えるのやめよう。
そういえば、

「此処に電話しないといけないんだよね…」

此処へ来る前に渡された電話番号の書かれたメモと携帯を取り出しこの電話番号に電話をかける。

「もしもし、先程この電話番号を教えてもらったミョウジです」
「ミス・ミョウジ。電話をくれたいうことは仕事が終わったようで」

声からしてこのメモを渡してきた大きな人だろう。

「はい。今終わりましたので、これからそちらに向かいます」
「いや、それは不要だ。此方で迎えに行く。そこで待っていてくれ」
「えっ、でも道順は覚えていますし一人でも大丈夫ですよ?」
「此方が呼び出しておいてレディ一人だけで来させるのはいけない。そこで待っていてくれ」
「は、はい…。ありがとうございます…」

何だかまたとても紳士的な対応で少し驚いてしまう。女一人でHLに出張に来させる上司とは大違いだ。
またあの執事さんが来るのだろうかと思いながら待っていると私の予想は的中で、再び執事さんがこちらまで迎えにやってきてくれた。それからあっという間に先程の大きな建物に着き、執事さんに案内をされながら中へと入る。
大きな扉を執事さんに開けてもらい何だかまたお洒落な部屋へと入る。

「ンだとこの雌犬!」
「何よクソ猿!」

部屋の中へと入るとまず先に視界に入ったのが、銀髪の人と、とてもスタイルがいい美人の人が口喧嘩をしている光景。一体この二人に何があったのだろうか…。

「あっ!ミョウジさん!...皆さーん!例の人が来ましたよ!」
「あ?...」

一番初めにあった少年が部屋にいたみんなに呼びかける。すると銀髪の人が真顔でこちらへとやって来てはジーっと見つめて来る。何だろうか…、物凄く近い気がする…。いや、確実に近い。近すぎる。

「一発ヤりm((いきなりなに言ってんだアンタは!」
「いって!!何すんだ陰毛頭!」
「アンタが何してんだよ!セクハラだよ!十分なセクハラだよ!」
「猿にはデリカシーってもんが一欠片もないのよ」
「チェインさん、猿に失礼ですよ」
「オイ!魚類!俺を何だと思ってやがる!」

銀髪の人と少年、さっきの美人さん、そして、甲殻類…?魚…?の異界人の人が集まって言い合いが突然目の前で始まり、流石に少々困ってしまう。止めた方がいいのだろうか…。

「おいお前達。少しは静かにしろ」
「なになに、例の子?...あら!可愛いじゃないの!何だか清楚って感じね!」
「ミス・ミョウジ、仕事が終わったばかりで疲れたろう。こちらへ」

突然始まった言い合いに困っていると、頬に傷のある人に眼帯をつけたこれまた美人な人と、大きな人がやって来る。
大きな人はやはり紳士的で、ソファの方まで案内をしてくれる。やはり人というのは見た目ではないなと改めてそう思ってしまった。

「紅茶です」
「あ、ありがとうございます…」

ソファに座ると執事さんの方がとてもいい香りのする紅茶を差し出してくれたりと、何だかとても場違いなところに来てしまったのではないかと思い何処か緊張してしまう。

「ではミス・ミョウジ、これから君に重要な話をしたいのだが、いいかな」
「は、はい」
「うむ。では先ず単刀直入に言おう…」

クラウスはナマエの前に腰掛け、ナマエの瞳を確りと捉え話を始める。

「ミス・ミョウジ、君には我々が所属している超人秘密結社、

”   ライブラに入って頂きたい   ” 」


2019/07/27