「ミス・ミョウジ、君には我々が所属している超人秘密結社、ライブラに入って頂きたい」
「…え?」
超人秘密結社?何だか怪しい気がしてならない。
もしかしてだが、私はとんでもないことに巻き込まれるのでは。そう思った。
「おいクラウス、流石に単刀直入すぎやしないか」
「む、やはりそうか。では詳しく説明しよう。まずライブラのことだが…カクカクシカジカ…」
それから話は少し長くなった。ライブラとは何なのか、吸血鬼の存在や牙狩りについて。
吸血鬼のことなどは私は本当に良く知らなかった為、とても詳しく且つ分かりやすく説明してくれた。私に襲いかかろうとしていた異界人らしき者も吸血鬼だったようだ。
「ライブラのことなどはよく分かりました。でも、何故私に入ってほしんですか…?」
「?君の力を見込んでに決まっているだろう?」
私が問いかけると頬に傷がある男性はきょとんとした様子でそう告げた。だが私にはさっぱり意味がわからなかった。
「力…?私には何も…」
「何言ってんすか?ミョウジさん、掌から水みたいなの出してたじゃないですか」
糸目の少年ににもきょとんとした様子でそう言われ、私はすぐに何のことを言っているのか分かった。
今日瓦礫が飛んできて来た時、謎の異界人に襲われそうになった時、私の掌から謎の液体が出てきたことはきっと忘れたくても忘れられない出来事。でもこの力を見込んだって一体どういうことなのだろうか。…もしかしてここにいる人達はこの力について何か知っているのだろうか。
「あの…、私、あんな力が何なのか分からないんですが…」
「え?どういうことっすか?」
「私、あんなこと今までに起こったことがなくて...」
「え、本当かい?本当に一度も?」
「は、はい...」
どうしよう。何だか皆難しい顔をしている...。
でもこの力を見込んでって言ってたしこの力について何か知っていたりしないだろうか。
「あの、この力について何か知ってたりしませんか?」
「すまないが我々はその力のようなものを見た事がない。だが、一つ確実に分かることがある」
「何ですか?」
分かることがたった一つでも今の私にとってはとても朗報だ。一つでもいい、兎に角この力が何なのか知りたい。ただそう思い真剣に話を聞く。
「それは、君のその力は吸血鬼に有力と言うことだ」
「あぁ、あの吸血鬼が再生しなかったからな」
「じゃあ...腕が溶けたのは...」
「君の力、液体に触れたからだろう」
今私が持ってる力って本当に吸血鬼に有力なんだ。何だかとんでもない力を見つけてしまった気がする。いや、身につけてしまったのだ。
「そこで、吸血鬼に有力な君にライブラに入って欲しいのだ」
「で、でも、私は疎か皆さんたちもよく知らない力ですよ?お役に立てるかどうか...足手纏いになるかもしれませんし...、それに第一私は仕事がありますし、帰らないと...」
「君の会社のことも調べさせてもらったんだけど、あんな酷い会社に働くのはどうかと僕は思うけどね」
「そうですよミョウジさん!あの会社ブラック中のブラックじゃないですか!僕だったら絶対に辞めますよ」
「た、確かにそうですけど...、...私も辞めたいですけど...」
確かにその通りだ。正直もうあんなところで働きたくはない。きっぱり言えば辞めたい。あんなところで働き続けたらいつか過労死してしまうかもしれない。そんな死に方は嫌だ。
「それに、日本からここに来るのは簡単じゃないですし...」
「...?君にはここに残ってもらおうと思っているのだが」
「えっ?!じ、じゃあ尚更無理ですよ?!色々手続きがありますし、きっと安いアパート見つけるにも苦労しそうですし...、引っ越し代とかも...、私そんなにお金ないですし...」
「住まいに心配はしなくても大丈夫だ。ここには部屋が余っているし家具も一通り揃っている。そこを君の部屋にしてもらって構わない。手続きや引っ越しもこちらで済ませよう」
何だかもうライブラに入ることになったかのような話の進み具合だ。
私自身ももう、ライブラに入ろうかな。なんて思ってきてしまっている。でもきっと入っても大丈夫だろう、そんな気がする。それに、ここにいた方がこの不思議な力について色々と知ることが出来るかもしれない。意味の分からない力を持ち帰って母国で取り返しのつかない事になるよりはましだろう。
「...分かりました。ライブラに入らせていただきます。ですが、本当に私がここにいて皆さんの迷惑にならないでしょうか?」
「僕たちが君を迎え入れたんだ、迷惑になんてならないよ」
「そうそう、スティーブンさんの言う通りっすよ」
「女子が増えて嬉しいわー!」
ここにいる皆が賛成の様で、微笑んでくれたり頷いたり、何だか歓迎されている様で嬉しかった。何だか、温かいところだな。心なしか胸がポカポカする。
「ようこそ、ライブラに」
「...!よろしくお願いします!」
柔らかく微笑みながら告げた大きな人に私は笑みを浮かばせ、気が引けるお辞儀や謝る為のお辞儀ではなく、何処かワクワクさせながら気持ちのいいお辞儀をした。
「あっ、そうだ...皆さんのお名前をまだお聞きしていないのですが...」
「あぁ、すまない。先に名乗るべきだったのにすっかり忘れていたよ」
「いえ、聞かなかった私も悪いので...」
そしてやっと皆の名前を聞くことが出来た。呼び方も。
頬に傷がある人はスティーブンさん、大きな人はクラウスさん、糸目の少年はレオくん、レオくんの肩に乗ってる小さい子はソニック、銀髪の人はザップさん、スタイル抜群の美人さんはチェインさん、眼帯をしていて何だかクールな感じの人はKKさん、失礼だけど...魚見たいな人はツェッドさん。
「もう知っているとは思いますけど...、ミョウジ ナマエです。ナマエって呼んでください」
改めて自己紹介をする。
「では、今日から君の部屋となる場所まで案内しよう」
「えっ?!き、今日から何ですか?!」
「着替えなどは既に用意してある。君の持ち物は明日届くはずだ」
「...もしかしてですけど、私がライブラに入るって言う前から色々と手続きとか済ませてました... ?」
「す、すまない、君なら入ってくれるだろうと」
どうやらクラウスさんは素直らしい。
誤魔化しもせずに正直に言ってしまうなんてどれだけ素直なんだろうか。何だかギャップがすごくて少しだけ笑ってしまう。
「謝らなくても気にしてないのでいいですよ、着替えまで準備してもらってありがたいです」
今日から新しい日々が始まる。
きっと騒がしくて、うるさい日々だろうけどこの人達と一緒なら何だかやっていけそうだ。
2019/07/30