紆余曲折を経て、スネイプはロンドンのど真ん中に立っていた。どこを見てもマグル、マグル、マグル、そしてたまに散歩中の犬。だけどスネイプのとなりを歩く灯希は白昼堂々空を飛び立ってしまいそうなほどるんるんで、好きな女の子が楽しそうにしているしいっか、とスネイプは小さくため息をついた。
しかし、スネイプの人生とはおおよそ縁のなさそうな女の子女の子した雰囲気の雑貨屋の前で、事件は起こった。

「ちょっと今から女子+承太郎さんでプレゼント選んでくるから男の子たちはどこか外で待ってて!」

 スネイプは耳を疑った。どこの世界に魔法使いの恋人をマグルの中心街に置いてきぼりにする魔女がいるだろうか。そうだった、彼女はこういう子だった―――スネイプは頭を抱えながら、一応灯希に確認する。

「……君、まさか僕のこと置いてくのか?マグルの街に?」
「大丈夫よ。赤司さんと鶴見中尉も残るっていうから、一人じゃないわよ」
「で、でも――――」
「スネイプ君、仕方ないじゃないですか。雑貨店ってどこの国でも狭くて小さいんですよ。……ああ中尉、あなたもかさばるからだめです。スネイプ君と赤司さんと一緒に待っててくださいね」

 かくしてスネイプと、赤司と鶴見の3人の男はぽつりとロンドンのど真ん中に取り残されたのだった。 ほぼ初対面に近い3人の男たちが同時にため息をつく。何もかもが気まずかった。
にしてもいい年した男がいつまでもかわいらしい雑貨屋の前で立ち尽くしていると通報されかねないので(実際はそんなことないはずなのだが、何故だか世界・世代共通に存在する男性の思い込みの一つとやらである)沈黙を破ったのは年長者の鶴見であった。

「……スネイプ君、と言ったか。申し訳ないがロンドンは初めてでね。どこか腰を落ち着かせられる場所を知ってたりするかね?」
「あー、僕はロンドン出身ではないので、あんまり……」

 軍人然とした鶴見の問いかけに、ロンドンと言えばダイヤゴン横丁しか思い浮かばないスネイプは消え入りそうな声でそう答える。見かねた赤司が助け舟を出し、彼がここに来るまでに見かけたという小洒落たカフェに入ることに決まったのだった。


――――――暗転。Sideモブ開始―――――――