お揃いのプレゼント



「はい、これお土産」

 久しぶりに会った彼女から渡されたのは、日本で一番有名な夢の国の袋。大人も子どももみんなが楽しめるあの場所のものだ。

「いつ行ったの?」

 がさごそと袋を開けながら尋ねる。前に会ったときはそんな予定、言ってなかったのにと思ってたら、会ったのが三週間も前だと気づいて愕然とする。会えない間にメールや電話はもちろんするけれど、三週間もの間ほったらかしにしておいたのに、不満一つ言わない彼女がいじらしくなった。

「先週。友だちと休みが重なったから勢いでね」

 誰と行ったかなんて聞いてないのに、俺が聞きにくいであろうことを察知して先手を打つ彼女に脱帽する。こうやっていつも俺のことを優先してしまうあい。その気持ちは嬉しいけれど、疲れてしまわないか心配になる。

「お、マグカップじゃん。」

 箱を開けると、テーマパークのメインキャラクターがデザインされたマグカップが出てきた。鼻の部分が持ち手になっていて愛嬌を誘う。色んな角度からそれを眺めながら、ふとあることに気がついた。

「なぁ、コイツの彼女の分もあるでしょ?」

 問いかけるとビクッと肩を震わせたあい。図星だな。お揃いを買ってくるなんて、ホントに可愛いヤツ。

「……あるよ」

 観念した彼女が差し出したのは、予想通りキャラクターの彼女の分のマグカップ。俺に言わず、家で使うつもりだったのだろう。既に開封されて食器棚から出てきたのだから。

「これ、二つとも俺んちに持って帰っていい?」

 突然の提案に面食らったのかぽかんとするあい。自分のために買ってきたものを持って帰ると言われたら、俺でもそうなるかもしれないなと小さく笑った。

「あいが俺んち来た時のために、置いときたい」

 滅多に会えない分、マグカップだけでもいいから側にいて欲しいなんて女々しいことは言えないから。

「二人引き離したら可愛そうでしょ?」

 なんておどけてみる。俺の強がりに、君は気づかなくていいから。

「……仕方ないなぁ」

 唇の端をあげて笑う彼女の手から、マグカップを受け取る。俺の貰った分と一緒に袋の中へ大切にしまった。そっと寄り添うそれは、今の俺たちみたいだなとロマンチックな考えが浮かんで消えた。

「今度、俺もお揃いのマグカップ買ってくるよ」

 彼女の肩を引き寄せながら告げる。

「それは、二つともあいの家に置いて。」

 俺の言葉に小さく頷く彼女。

「そしたら、会えなくてもお互いのこと感じられるから」

 最後まで言うと彼女の髪に指を差し込む。自分自身を焦らすように、ゆっくりと距離を縮めた。重なりそうで重ならない。そんな瞬間も彼女のことを感じたい。ようやく重ねた唇は甘くて愛しくて、俺の体にしみわたった。


 君からもらったお揃いのプレゼント。

 二つのマグカップが、まるでキスするように並べられていること、君は知らなくていい。

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