残念ながらべた惚れ
title by 確かに恋だった



「ホント、ずるいなぁ」

 テレビを見ながら一人呟く。現在木曜19時半。テレビの中で満面な笑顔をしたと思ったら急に真剣な顔になったり、ドSなことを言ったりしている潤くん。その表情にお茶の間で翻弄されてる人は多いだろう。かくいう私もその一人だ。
 彼の魅力はギャップにあると思う。まず目に入るのはキリッと男らしい眉毛。反対に繊細な睫毛と切れ長の目。通った鼻筋に、上唇が薄い左右非対称の唇。おでこは個人的に出していない方が好みだけど、それすらどちらでも良いほど美しい。誰かが彼のことをギリシャ彫刻みたいと言っていたような気がするけれど、もしかしたらそうかもしれない。だって何時間でも見ていられるのだから。でも、彼の魅力は外見にとどまらない。
 そんな美しい容姿を持っていながら、ストッキングを被ったり、格好つけたいのに決まり切らなかったり。そういう可愛らしさを併せ持っている。ホントにずるいと思う。どれだけ世の女子のハートを鷲掴みにすれば気が済むのか。

「何がずるいって?」

 そうそう、この声もずるい。耳元に直接響くような少し低めの声。言葉を大切に選んで話すコンサートの挨拶に、いつも泣きそうになるのは私だけじゃないはず。

「何トリップしてんの?」

 目の前で手をヒラヒラと動かされ、周りの景色が戻ってきた。手の元を辿ると、そこには動くギリシャ彫刻。松本潤、私の彼である。

「ちょっと潤くんのかっこよさについて脳内会議をしてたの」

 真剣な顔で答えたのに、「なんだよそれ」と小さく吹き出して一蹴された。言葉だけ聞くとそっけないが、私の頭を撫でる手がとてつもなく優しい。こういうところもずるいんだよな。もっと好きになっちゃうよ。なんだか悔しくなって少しだけ口を尖らせた。下から彼を睨むように見上げる。

「ん? どうした、あい?」

 勝手に拗ねる私の視線に気づいてくれるあなたが好き。膨らむ気持ちが抑えきれなくなって、つい口をついて出た。

「……好きだなぁ」

 突然の告白に少しだけ目を見開いた潤くん。すぐに唇を左右に引き、優しく微笑んだ。

「知ってる。だってあいの目がそう言ってるから」

 こんなキザな言葉も彼には似合ってる。言われて胸の鼓動が速まった。

「……潤くんだけ、ずるい」

 私ばっかりドキドキさせられて、私ばっかりどんどん好きになって。計れるわけないけれど、愛の重さがあればきっと私の方が五倍は重いと思う。

「あいは、俺の目が何て言ってるか分かんない?」

 でも、こうやって囁くあなたの瞳がとても艶やかに潤んでいるから、自惚れてもいいのかな。

「好き……って」

 紡ごうとした言葉は途中で重ねられた唇に吸い取られる。開いたままだった目に映るのは睫毛の長い彼の瞳。それが愛おしそうに細められるのを目に焼き付けて、ゆっくりと閉じた。


 あなたの端正に形作られた顔が好き。しなやかに動く腕や足も。

 子どもっぽいところも、時に上からリードしてくれるところだって。

 そして、私といるときの蕩けそうな柔らかい微笑み。

 あなたの全てに、残念ながらべた惚れ。

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