「それでは、みなさん選び終わったということで、早速始めたいと思います。」
「『第一回、夏の花で愛しいあの人に想いを伝えよう選手権』ー!!!」

ふぅー!!

「まずトップバッターは……。」
「はいはい! 俺行きますっ!」

「お、相葉くん。いいねぇ。」
「ここ大事よ、相葉さん。」

 相葉ちゃんが「っしゃ!」と花束を持っていない左手に力をこめながら前に出る。
 気合い入れるためかぶんぶん腕を振り回して、「花、ぐちゃぐちゃになるよ!」と翔くんに止められる。

 そして、口元が引きつった緊張気味の相葉くんが、私の前に立った。


□  side A

「それでは、よーいスタート!」

 翔ちゃんの声が遠くで聞こえる。番組の収録とはいえ、人前で告白するなんて恥ずかしすぎる。
 それもトップバッターだなんて。

 ぐるぐる考えてたら前に進む足が止まっていたようで、あいが心配そうな瞳を向けてきた。
 そうだ。俺一人でやるんじゃない。あいもいるんだから。

 俺はその存在に励まされるように、一歩足を進めた。

「今日は突然呼び出してごめんね。」
「ううん。どうしたの?」

「ちょっと伝えたいことがあってさ。座っていい?」
「うん。どうしたの? ちょっと変だよ。」

「そんなことないよ。大丈夫だってば。」

 そう答えながら足が震えそうになる。
 何だか本当に告白するみたいで可笑しくなった。

「あのね、俺気の利いたこととか言えないけど。」
「うん?」

「ずっとずっと大好きだから。」
「えっ?」

「俺と付き合ってください。」

 ピンクの撫子の花束をあいへと差し出す。

(そんな撫子の花言葉は、純粋な愛)

 ナレーションが流れ、手の中の重みがあいに移った。

「雅紀くん、ありがとう!! その真っ直ぐなところが大好きです。」

 あいの言葉が耳に飛び込み、体中を回って熱を運ぶ。

『カーット!』

 座ったまま呆然とする俺に、あいが笑いながら話しかける。

「相葉ちゃん、お疲れ様。緊張してたね。笑」
「いやー、相葉さん本気でときめいてたでしょ?」

「雅紀呼びはグッときたね。」
「あれヤバイよね。」

「ほら、相葉ちゃんこっち座んなよ。」
「って、相葉さん汗の量がハンパ無いんですけど。笑」

 みんなが口々に話す声が聞こえるけど、俺は上手く返せない。「うん。」とか、「おぅ。」とか短い返事をしながらソファーへと戻る。

「相葉くん、告白のポイントは何だったの?」

 翔ちゃんの質問でカメラが回り始めていることに気付き、慌てて答えを用意する。

「撫子の花言葉が純粋な愛ということで、ストレートに伝えようと。」
「すっげぇ、相葉ちゃんらしかった。」

「いやー、あいもちょっと照れてたでしょ?笑」
「そりゃ照れるよ。告白されて花束貰ったことなんてないもん。」

「相葉さん、固まってたよね。笑」
「お前なー、あそこ行ってみ? 手汗すごくなるから。」

「あいの返事にもノックアウトされてたけど。笑」
「雅紀呼びに、思考回路がショートしました。笑」

 俺の言葉にスタジオが笑いの渦に包まれる。
 その中に、俺のあげた撫子を大事そうに抱えたあいの姿もあって。

 言葉にできない幸せを抱えて、俺も微笑んだ。

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