「俺は、ずっと君だけを見てる。」
眉を寄せて切なそうに言う姿はとても色気があって、同性の俺が見てもドキドキしてしまった。あいに目を遣ると、案の定、口をパクパクさせて真っ赤になっている。
「あいが金魚みたいになってる!」
「これは重傷だわ。」
「いや、こんなセクシーなリーダー見せられたらあぁなるんじゃない?」
「ギャップすごいもんね。」
智くんの色香に当てられたあいは、未だに放心状態で。隣のニノが肩を掴んでガクガク揺らすと、やっと我を取り戻した。
「……智くん、何なの。そんなの反則だし。」
「俺は思ったことを伝えただけだけど?」
「だーかーらー、それがダメだって言ってんの!」
「あい、今のリーダーは無敵だから、触ったらやられるよ。」
「ほら、落ち着いて。深呼吸深呼吸。」
肩で息をするあいをニノと相葉くんが宥める。頭を抱えたあいが大きく息を吸い込んだ。
「このトキメキは、全部ニノに押しつける!」
右手の人差し指でビシッとニノを指し、左手は腰。勇ましいあいの姿に思わず吹き出す。
「えー、俺慰めてあげたじゃん。」
と言いながらも、かかってこいとばかりに不敵な笑みを浮かべたニノ。そんなニノにそっと近づいたあいは、普段とは180度違う艶やかな笑みを浮かべた。一瞬で切り替わった雰囲気に、俺は思わず息を呑む。周りの空気がピーンと張り詰めたように感じた。それくらい二人を取り囲むものが変化したんだ。
「貴方は私のものでしょ?」
浮かべた笑みはそのままに、頭を少しだけ傾げたことによって可愛さがプラスされた。これは絶対返せない自信がある。こんな本気のあいに太刀打ちできるのは……ニノくらいのものだろう。
「ありがとう。」
軽くウインクし、満面の笑顔で返したニノ。途端にあいを覆うものが、普段の柔らかいものに変化した。今まで見ていたのは幻かと思うほどの儚さに、思わず目をしばたたかせた。
「……マジかよ。」
「ちょっと息止めて見ちゃったね。」
「あいの本気の演技、ゾクゾクするわ。」
「ニノすげぇな。俺、絶対無理。」
俺たちからの称賛に、ドヤ顔で応えるニノ。対してあいは頬をぷぅっと膨らませて、不満げだ。
「あー、もう! すっごい本気でやったのに!」
「いや、良かったよ! あいは百点満点だった!」
「相手がニノじゃなかったらなぁ。」
「ふふふ。やってやりましたよ。」
満足したのか、鼻歌でも歌いそうな様子で、ニノは相葉くんへ向き直る。
「君の瞳に乾杯。」
ニノにしては捻りのない言葉選びに首を傾げる。それは相葉くんも同じだったようで、少し戸惑い気味に返した。
「ありがとう?」
相葉くんの返事に悔しがることもなく、にんまりとするニノ。こんなの相葉くんを勝たせたかったみたいじゃないか。
そこまで考えてハッとする。なるほど、ニノは文字通り相葉くんに負けさせたくなかったのだ。ニノの考えに気づいて親指を立てると、向こうからも親指が返ってきた。
「全員終わったし、結果発表するよ。」
俺の声に愕然とするあい。頭の回転の速い彼女のことだ。もう先は読めているに違いない。俺は少しだけ同情を込めた視線を彼女に送って、言葉を続けた。
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