ほどよくお酒も進み、お節料理も随分少なくなってきた。
「お雑煮食べる?」
問いかけるとみんなが頷いた。
「お正月っぽくていいじゃない」
「お餅ってテンション上がるよね」
なんて言いながら、少し赤く染まった顔を微笑ませている。
「あ、でも作ってる間、みんなが暇になっちゃうね」
おもてなしする立場としてはどうだろうと悩んでいると、陽気な声が耳に飛び込んでくる。
「大丈夫。お正月遊びして待ってるから」
そう言う相葉くんの手には一枚の紙とサイコロ。それはもしかすると……。
「おい、これ、相葉すごろくじゃねーか!」
「あの伝説の……」
相葉くんの手にあるのは、某番組の1コーナーだった相葉すごろく。罰ゲームが色々衝撃的で私たちの間で伝説と化しているのだ。
「これしてるから、あいは安心してお雑煮作ってきて」
手をヒラヒラと振りながら言い放つ相葉くん。赤い顔と上機嫌な様子に一抹の不安を覚えながらも、リクエストされたお雑煮作りに取りかかった。
関西出身の私だが、母方の実家が愛媛県と言うことでお雑煮はすましだ。煮干しからとった出汁に白菜や人参を入れ、丸餅を使う。餡入りか餡無しかは好みが分かれるが、今日は全員餡無しにした。餡入りも甘じょっぱくて美味しいんだけどね。
人数分のお椀を乗せたお盆を持って襖を開ける。直前に聞こえた大笑いに、中の惨状は覚悟していた。それでも、この状態はどうかと思う。
「あい……」
申し訳なさそうに目を伏せた翔くんは悪くない。着ているのが乳首部分だけ穴が空いているTシャツであるということを除けば。
「さすが相葉すごろくだよ……」
溜息をついた潤くんの顔は金箔でテカテカと光っている。落とすのが大変だと評判の罰ゲーム、ツタンカーメンだ。
「お正月らしいといえばらしいのかもしれないけれど……」
小さな声で言う智くんは目の周りが墨で黒く塗られている。これはパンダメイクの罰ゲーム。
「ホント、相葉さん、勘弁してほしいよ」
「そんなこと言って、ニノだって楽しんでたくせに」
そう言いながらもはや人相が分からない状態になっているのは、ニノと相葉くん。定番と言っても言いストッキングを被って、目は細くつり上がり全体的に潰れた顔だ。
「……アイドルとは思えない」
私の言葉に引きつる五人。
「でも、嵐らしいね」
続けるとみんな、ほっと大げさな溜息をついた。
「せっかくのお雑煮、いただこうぜ」
威厳も何にもない格好でいう翔くんに習って、罰ゲームの状態のままお雑煮を味わった。
それぞれ元の衣装に着替え、顔についていた金箔や墨を落としておもてなしを再開する。
「次は俺! あいに2016年モテ仕草をやって欲しい」
完全なる無茶ぶりに動揺する。新春の情報番組で罰ゲームとして潤くんがモテ仕草を披露していたけれど、あれを超えるものはできない。耳を真っ赤にしたニノと迫る潤くんに、きっとお茶の間は騒然となっただろう。
「それは俺も見たい」
前のめりに座り直した智くんのキラキラと期待するような瞳に後押しされて、リクエストした潤くんを前に立たせる。後ろから服の裾を軽く引っ張り、上目遣いで見上げた。
「今日は、ありがと」
図らずも赤く染まった頬と、少し掠れた声もシチュエーションを彩ってくれただろうか。不安に駆られてみんなの方を見ると、酔っているのか私と同じく頬を赤くしたメンバー。
「10点!」
「1万点!」
「100億点!」
「……プレイスレス」
何故か札を挙げる真似をした四人と、口元を押さえて目を背けた潤くんに、何とか成功したことを感じて息をはく。「リーダー、ずりぃ」「その手があったか」という声を聞きながら、ゆっくりと潤くんの服を離した。
「俺こそ……ありがとね」
温かい手で頭を撫でられ、ほんわかとした気持ちになった。
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