「やっぱり智くん上手いね」
「一目見ただけで、何か分かるもん」
みんなが覗き込む中、俺はスケッチブックを翔くんに渡す。
「うわっ! これ、『猫』でしょ? 超うめー。この後、プレッシャーだなぁ」
「あれ? プレッシャー感じるほど、翔さん上手でしたっけ?」
容赦無いツッコミを披露するニノを余所に、真剣な顔で描き始めた翔くん。『こ』から始まる絵を描いているはずなんだけど、ただの逆三角形にしか見えない。
「えー、翔ちゃん、一体何描いたの? もっとヒントちょうだい」
「分かんない? これで完成系なんだけど」
「おかしいなぁ」と言いながら、逆三角形の上にへびみたいなにょろにょろとしたものを付け足した。
「こ、こ、こ、こ……」
「もしかして『こま』!?」
あいの声に「オーイエー」とハイタッチを求める翔くん。これを『こま』だって気づく方も凄いけど、言い張る方もなかなかのものだ。
「いや、前衛的すぎて我々にはちょっと厳しい」
「納得いかないけど、『こま』ね……。次は俺だ」
翔くんから受け取ったスケッチブックを前に悩む相葉くん。「ま、ま、あっ!」と何かを描き始めた。ボルサリーノっぽい帽子をかぶった男の人が、ピストルらしきものを手に持っている。これはもしかして……。
「ま、ま、ま……ま?」
「分かった! 『マフィア』でしょ?」
勢いよく答えたニノの頭を、「ニノちゃんせいかーい」と嬉しそうにくしゃくしゃと撫でる相葉ちゃん。「やめろよ」なんて言いながら、ニノも嬉しそうだ。
「これは俺にも分かったわ」
「よし、負けてらんない! 『マフィア』のアね」
相葉くんから渡されたスケッチブックに、戸惑いもなく描き始めるあい。細長い形の下に二つの小さな塊がくっついた。おそらく足だろう。そして細長い形の左端に黒く塗った丸。さらにその先に大きな丸。縦に模様が入って、まるでビーチボールみたいだ。
「あい、これは分かんないよ」
「えー、絶対みんな見たことあるのにー!」
「この丸いボールみたいなの、ヒントでしょ?」
「ボール持った『ア』……分かった! 『アシカ』だ!!」
翔くんの答えに破顔するあい。翔くんすげぇな。この絵から『アシカ』にたどり着く? 絵に関しては、この二人独特の世界があると認めざるを得ないな。
「もうどこから突っこんで良いのかよく分からない」
「俺も。……だから次いこっか」
疲れたような顔をするニノにスケッチブックが渡る。これまた悩まずにさらさらっと描き始めた。小さい帽子を被っているのは子どもかな? その左側にはひげの生えた大きい人。右側にはパーマのかかったスカートをはいた人が立っている。
「俺、これ分かったかも」
「俺も俺も」
一斉に言おうと言いたげな相葉ちゃんの視線に頷き、呼吸を合わせる。
「「『家族』」」
「正解! いやー、二人なら分かってくれると思ったんだよ」
お互いの健闘を讃え合うように握手を交わす。横から「俺も分かったのに」と松潤が茶々を入れたけど、それには笑顔を返しておいた。
「何かスムーズだね」
「私たちの絵も、理解して欲しいね」
ボソボソと言い合う二人を尻目に、スケッチブックをゲットした松潤も、何か描き始めた。大きな丸の上に小さな丸が二つくっついている。大きな丸の中に黒丸が二つ。これは目かな? その真ん中の少し下にまた丸。そこから二本の線が伸びてクルッと曲がっている。
「可愛い……」
「これは……松潤ってメールだけじゃなくて絵も可愛いんだね。『くま』でしょ?」
俺が答えると「さすがリーダー」とくしゃっと笑った。こういう顔をする松潤は、グループ内の一番末っ子で伸び伸びとしている。
「潤くん、なかなかやりますな」
「ね。ここで可愛さ放り込んでくるとは思わなかった」
次は俺の番だ。感想を言い合うみんなの声をBGMに何にしようか考える。そして思いついた物を紙に表現した。
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