ふたり歩くこの道
title by 確かに恋だった
今日は金曜日。事務所内で夜の歌番組の打ち合わせと振りの確認をしている時に、その知らせが来た。
「おい、みんな集まれ。」
険しい顔をした元さんが、俺たちを呼び寄せる。直感でいい知らせではないなと思った。
「二人だけに話しても良かったんだが、お前ら全員知っとけ。」
俺とあいの方を見て元さんが言ったから、あぁ、とうとう記事になるんだなと分かった。
「週明け、二宮と高橋の記事が、一斉に週刊誌に載る。」
元さんの言葉に、誰かが息を呑む音が聞こえた。俺は変に冷静で、相葉さんに向けられた気遣わしそうな視線に頷くことすらできた。
「写真、撮られたの?」
俺に向けて放った質問は、元さんに回収される。
「いや、6人で言った食事会の帰り、二人だけを切り取ったものだ。だから何とかしようと思えば、なるかもしれない。」
この人がそう言うなら、何とかなるのだろう。
「ただ」
元さんが言い淀む。きっと言いにくいことが続くのだろうと、心の準備をした。
「今日の歌番組にこんな質問が来てるらしい。」
そう言って一枚の紙を見せられる。それは番組内の1コーナー、MQでの質問だ。視聴者から出演者に送られた質問に答えるコーナーで、俺たちも出演させてもらった時は、いくつか答えている。
『最近、ニノちゃんとあいちゃんの間の空気が甘い時がある気がするのですが、付き合ってるんですか?』
「うっひゃー。よく見てんね。」
「この子まだ十代だって。すごい観察力。」
「感受性が豊かってことか。」
みんな口々に言うものの、そこに悲壮感が漂わないのは、とても有り難い。
「週刊誌はどうとでもなる。だが、このファンの声は無視できない。」
それは俺自身が感じていたこと。だから元さんに訊ねる。
「社長は何て言ってるの?」
俺の声に、部屋中が静まりかえる。息遣いさえ響いてしまいそうな空間に、元さんの声が波紋のように広がった。
「お前らに任せる、だそうだ。」
隣であいが勢いよく顔を上げたのが分かった。目を見なくても分かる。きっと考えていることは同じだ。
「じゃあ、質問にちゃんと答えたい。」
「生放送だって分かってるな。」
「それでも見守ってください。ファンの方には、自分たちの言葉で伝えたい。」
頭を下げる俺たちに、元さんの声が落ちてくる。
「決めるのは俺じゃない。お前たちだ。」
顔を上げてみんなを見る。そこには普段と変わらない表情を浮かべた仲間たち。
「いいんじゃない。」
すぐさま同意を示してくれたのは相葉さん。その手があいの頭をくしゃくしゃと愛おしそうに撫でた。
「共演者の方へ、事前にお願いしておくか。」
一番生放送の難しさと怖さを知っている翔ちゃん。それでも肯定してくれてありがとう。
「俺たちらしいんじゃない。」
独特の言い回しで背中を押してくれた潤くん。目が合うと、クイっと唇を上げた笑みが返ってきた。
「二人の思うようにしな。」
リーダーの言葉で場が締まった。嵐の精神的支柱である彼の後押しに、安堵が広がる。
「ありがとう。」
胸一杯の感謝の思いを唇に乗せた。
恐れる気持ちが無いわけではない。逃げ出したいって思わない訳じゃない。
でも、みんながいてくれるから。君といたいから。
ふたり歩くこの道を、ずっと先まで続けたいから。
例えそれが暗く険しい道でも、歩き続けたいと思うんだ。
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