短編集
ブルースター 2
[5/6]


そうして六日が過ぎ、七日目、最後の夜である。
明日の昼にはチェックアウト、フランスとも暫しの別れとなる。この一週間、ル・カルヴェ・パリに滞在しながら様々なホテルのこともよく学び、一昨日からは郊外まで足を伸ばし、思った以上に充実した研修となっていた。

(この大理石ともお別れか)

バスルームの床を足先でなぞり、次はいつこんなセレブリティな体験ができるだろうかと小さく笑う。
内装も人々も美しく、食事は豪華、部屋は常に清潔。
大満足である。欲求不満はあれど、これ以上望むのも贅沢というもの。もう大人しくしてよう、と部屋に戻る。

「上がりましたー」

声を掛けると、やはり伊集はベッドの上にいた。間宮の声に見慣れた寝間着姿で顔を上げる。

「次いつこんな風呂入れるかな〜と思ったら、つい長風呂しちゃいました」
「そうだな……」
「あ、伊集さんもそれで長かったんスね」

間宮が納得して笑えばぎく、とした伊集に首を傾げる。

「ん?」
「いや、そう……」
「……もしかしてぇ」

まさか、とからかい半分、ベッドに上がり伊集の腰を抱く。

「っま、」
「こっそり俺に抱かれる準備、してたりし……て……」

目を逸らした伊集の顔は真っ赤である。
うそ、と呟くと耐えかねたような伊集に唇を塞がれた。

「んっ、!? ふ、ンぅ……ッ」

伊集は七日間の鬱憤を晴らすように舌と唾液を絡め、唇を食み、物欲しげに耳を舐めるとうなじに吸い付いて、熱く濡れた息を吹き掛ける。
そして僅かに責めるような、悩ましげな瞳で間宮を見つめた。

「こんな……こんなの、毎日されて、俺……」
「っ俺、ここまでエロいの、してないスけど……」

呟けば、じわ、と羞恥で目元を染める伊集になんなのかと内心頭を抱える。
が、ここまで来たら限界まで耐えるしかない。間宮にもなけなしのプライドは残っている。

「キスならいいって言ったの、伊集さんだし……俺だって我慢してて、」
「……全然真面目じゃないんだ……」

へ? と視線を上げれば、今度は反省したような伊集の顔があった。伊集の手が間宮の頬に触れる。

「仕事なのに……間宮とどこか行く度、仕事じゃなきゃよかったと思ってた、ずっと……夜なんか、お前のことばっかり考えて」
「い……」
「……ずっと、」

頬に触れていた手が胸元を滑り、そのまま下に伸びて股間の膨らみを撫でる。

「欲しくて、仕方なかったんだ、間宮の……っ」

ーーこれはもう、ゲームセット文句なし。


「伊集さん口開けて、」
「っ、ん、ぁ……ッふ、ンぢゅッぅ……ッ! ふ、あっぇうッん、はっまみぁ、あッンぅ、う、っくふ……ッ」

ぞくぞくと戦慄く伊集の腰を撫で回しながら、久々のセックスに誘う口づけの気持ち良さに間宮の脳も溶けそうだった。

「あ、ぁ……ッはあっ、ん……はあ、あ……っ、は、」
「はッ、はあ、っん……は、伊集さん、ちょっとイきそうだったでしょ……」
「あ……ッ」
「つって俺も、伊集さんのこと言えねーんスけど……」

すっかり固くなった伊集のペニスを布越しに指でなぞり、「脱いで」と甘く命令すれば、伊集は既にぼんやりとしながら膝をついて下着ごとおろし、間宮に向けて足を開くように脱ぎ捨てる。

「は……っ、は……ッ間宮、早く……っ」
「あー、ちょっ、と待ってください、刺激強い……」

使ったものだがないよりましとバスタオルを敷いたベッドの上、勃起して先端を濡らした伊集のペニスが晒されている。挙げ句、伊集が自らアナルを拡げてみせるもので、理性が追い付かないまま凝視してしまった。

「もう濡れてるし……」
「だから、っ準備したって……も、入るから、」
「わ、ちょっと伊集さ……ッ!?」

しびれを切らしたような伊集に押し倒されて声を上げるが、伊集は構わず間宮の下着をおろしてペニスを取り出した。既に固くなっていたところを扱かれれば否応なしに臨戦態勢、上に股がった伊集の火照ったアナルが先端に吸い付く。

「は……ッ、あ、……? ッちょっと待っ、伊集さんゴム!」
「いらない……ッ」
「はっ!? だめ、いずさ……ン、くッ!」
「はあ、ぁ゛……ッ!、ぐ……っ」

ずぶ、ぐぷと飲み込まれていくペニスを呆然と見つめる。
ーーうっそ、マジで、

「生は……ッ、っく、ッあ、やべ、気持ち……っ」
「はーッ、はッ、ッあっン゛ん、ぅ゛う……ッ、」

ペニスが奥へと沈むにつれ、開きっぱなしの伊集の唇から唾液が溢れて間宮の腹に落ちた。

「う、あ……ッ伊集さん、騎乗位とか……っはあ、大丈夫……?」
「はあっ、間宮ぁ……ッ間宮の、ぜ、全部……ッはいった、か」
「そ、スね、はあ、入っちゃった……あー、くそ、出そう……」
「ん……ッふ、ぁ……いい、出して……」

嬉しそうに口元を弛める伊集に、たまらず間宮のペニスが大きさを増す。「あ」と小さく声を上げる伊集の腰を掴んで思いきり突き上げた。

「お゛ッ!? 〜ぁ゛……ッ゛ッ!」
「ッぁ゛締まる、はあッ! 伊集さんが、中出しねだると思わなかった……っ、生で奥突かれんのどうスか、ほらッ、生チンポ気持ちいッ?」
「ん゛ッぉ、ひッ気持ち……っあ゛!? ま、みやこれッぇ゛、ぅっあ゛、へ、ンなとこ当た、ぁ゛ッへ……ッ」
「あれ、ッんぐ! やべ、結腸入っ、ちゃったかも、ッく」

一旦抜こうとするが、力が入らなくなった伊集の重みで上手く抜けずに結腸を捏ね回すはめになる。

「あ゛ッはァっもッうご、かな間宮、ぁ゛ッ! ッはあ、あ、ぉ゛ッ、そこ、ぁひっイくッい、イ゛ぅぅ……ッ!」

ビュル、と伊集のペニスから白濁が飛ぶ。絶頂にさらに中が締まり、間宮はあまりのそれに顔をしかめた。

「ッぅぐ、ちょ、と待っ……あぁもっ、」
「うぁッ!?」

伊集の安全を最高級のベッドに任せ、無理矢理正常位に体勢を変えて口づける。

「っんぅ、ん゛、ふ……ぅ、」
「は、ッあー、痛いくらい締まった……騎乗位興奮しますけど、もちょっと余裕ある時で、おたがいにッ!」
「あ゛ぅッ!! 〜ッひ……っ、」

まだ絶頂の余韻を残すうちに勢いよく腰を打ち付けられ、伊集の背がビクビクとしなる。指先がなんとかシーツを握りしめるが、休む間も与えず突き上げるとすぐに投げ出された。その手に指を絡めれば伊集も必死に握り返してくるのがたまらず、微笑みながら腰を振るスピードを速める。

「あ、っんぁ゛っあッ間宮ぁっあッうッぅんッぁ゛ンっあんッァ゛っあ〜ッ!」
「ッはあっくそ、あぁっ腰止まんねッ……伊集さんごめ、んッはあッあっぁ、あー出る、ッ出る、いずさ、くち、こっち……っ、ッん゛……ッふ!」
「ん゛う! ぅ゛、ふうっ、うッ、んぅぅ゛〜……ッッ」

唇を塞ぎ、奥まで挿入したまま射精する。性欲を溜め込んだ濃い精液を注がれてすぐに伊集の腰も跳ね、蕩けきった瞳が焦点を失って揺らめいた。

「ぁ、んぁはぁ……ッあ、〜っあ……っあ、でっ、出て……っる、奥、おく……っぁ、間宮の……いっぱ、すご……ッ」
「あ゛〜っ……すげ、ッまだ出る……っおぁ……は、っは、伊集さんチンポ搾りすぎ、ッんんァ……一回、抜きますね」
「あ、あ、ぁぁ……」

艶かしい声と同時に、ぽってりと縁を腫らしたアナルと間宮のペニスを粘り気のある白濁が繋ぐ。

「ぅ、あ……っはあ、っぁ……」
「はあッは、やべ……伊集さん大丈夫スか……っ? スミマセン、今掻き出すんで」
「あ、いま……っ」

間宮の腕を力なく掴んだ伊集が、逃げるように爪先でシーツを蹴る。

「今っ……掻き回されたら、またイく……」
「かわい……別にいいっスよ」
「ぁ、ん゛ぅッ」

ジュプジュプと音をたてて激しく掻き回すと、伊集の腰が悶えるように浮き上がった。

「あ、イく、ぃく……ッ! あっ、あひっ、あっあっあっ……」
「は、伊集さん中イキしてる……エッロい腰の揺らし方して、まだチンポ欲しいんスか……っ?」
「ほ、ほし……っほしい、」
「へ」
「っお、奥でっビュ……ッて、んンっ……っぁ、間宮のっ、いっぱい、気持ちよかった……から、ぁ」
「ッ……も、伊集さん……!」

快感に従順な伊集の姿とまさかの答えに間宮のペニスも固さを取り戻す。誘っている伊集の腰を掴むと、張り出したカリで柔らかな入り口を再び押し拡げた。ゆっくりとペニスを押し込むのに合わせて白濁がアナルから溢れ出す。

「んふ、ぅぅう……っ」
「はあッ……ちゃんとおねだりしたこと全部覚えといてくださいね、明日立てなくても俺だけのせいじゃないっスから……!」
「あ、あ゛……っン、わか、ぁ……わか、た、ッひ! ん゛あっあっあっあっあっ」

蕩けた中を剛直なペニスで掻き回され、濡れた先端が奥に当たるたび、精液を欲しがった伊集が快感と期待に喘いだ。

「間宮っ間宮ぁ、」
「んっ、ンッ、あーッ出る、伊集さ、ッさっきより、もっと奥ッぶっかけてあげますから、ほら……ッ」
「ッぉ」

抱き潰すように奥までペニスを嵌め込み、そのまま望み通りたっぷりと射精する。

「んううぅ゛ッ! ぅぐッんふッ、まみっ……ぁあああ゛……ッあ゛〜っ……!」
「ッうぉ……っさっき、かなり出したかと思ったけどもーこんな……は、伊集さんエロすぎてすぐ溜まる……ッ」
「ん゛ぉッ! 出しながらッつくのらぇ、あ゛ッあへっあっ!」
「はあッ、今度こそ全部ッ出してあげますねっ」
「間宮ぁっま、ひッイくッイくっあ゛ッもぉ、イっあ゛ぁぁ!」
「伊集さんッ伊集さん、」

愛しさと興奮に任せたまま、何度も口づけては互いに果て、間宮が伊集の中に三度目の射精をしたところでようやく落ち着いた。
今度こそ後処理をし、快感の余韻が引いたところで、抱きしめていた伊集の額に口づける。

「片付けさせて悪い……」
「いや当然のことというか……!! 伊集さん風呂入る元気ありますか……?」
「……ない……」
「ですよね……うー、スミマセン……」
「……お、覚えてるから……」
「ん?」
「俺が、……してほしいって、その、覚えてるから、謝らなくていい…………」

首から耳まで真っ赤にして反省したように呟く伊集に、じわじわと間宮の下半身が刺激される。が、さすがにこれ以上はまずい。
なんとか平静を取り戻し、口づけで踏みとどまると伊集に笑いかけた。

「伊集さんが積極的でめっちゃ嬉しかったっス」
「う……、も、寝よう……明日も遅くないんだし」
「そっスね、寝ましょう。へへ、久しぶりにくっついて寝れる」
「……ふ。そうだな」
(あ゛〜可愛い……むり……)

パリ最後の夜、間宮は伊集を抱き寄せたまま、その温かさに口元を弛ませながら幸せな眠りについたのだった。



* 前へ | 次へ #
栞を挟む

5/6ページ

LIST/MAIN/HOME

© 2018 甘やかしたい