#03

アーモリーワンで所属不明艦による新型機強奪が起きた翌日、新たに舞い込んだ悪い報せに世界中が騒然としていた。

――“ユニウスセブン”の地球降下

かつてプラントの農業用コロニーだったそれは、地球連合の核攻撃によって残骸と化し、今は巨大な墓標として宇宙に漂っているはずだった。
それがいま、地球に向けて動き出している。
ボルテールのモニターに映る悲劇の地を前にして、ジュール隊のモビルスーツ隊は息をのんだ。
「これを砕けってか…」
ディアッカ・エルスマンが顔をしかめる。
「こう近くで見ると、やっぱりデカいな」
本国からジュール隊に下された任務は、ユニウスセブンの破壊。落下する質量を少しでも小さくすることで、被害を抑えようという苦肉の策だった。
「ばち当たるぜ」
ユニウスセブンは未だ多くの遺体が凍結状態で残っている。非常事態とはいえ、そんな彼らの眠りを邪魔するような行為に誰もが躊躇した。
「やらねば、今度は何億もの命が犠牲になる」
イザークが冷静に答える。
その言葉に、隊員達の表情が強張る。イザークは彼らに向き直って鼓舞するように言った。
「失敗は許されんぞ!心してかかれよ!」
隊員達は一斉に敬礼をして自分の持ち場へと解散していった。彼等を見送ったアーシェが、「どうして」とイザークの傍らで小さく呟いた。
「どうしてこんな…100年単位で安定軌道にいたはずなのに…」
今後起こる事態を想像して、アーシェは泣きそうだった。ユニウスセブンの破壊が成功しても、犠牲が出ることには変わりは無い。
「さあな、誰もが疑問だろうよ」
イザークが言う。青い瞳は、ただ真っ直ぐユニウスセブンを見つめていた。
隕石の衝突か、それとも人為的か。
いずれにしても、原因を悠長に探っている時間はイザーク達には残されていなかった。
「今はただ、出来る限りのことをやるしかないんだ」
「しっかりしろ」と言う彼に、アーシェは硬い表情のまま頷いた。
「それにしても…」
イザークはボルテールの隣を並走する友軍の戦艦にチラリと視線をやって、ため息ともとれる息を吐いた。
ボルテールと同型のナスカ級“ディオニソス”
ザフト軍が誇る特殊部隊の母艦だった。

「――エアリス隊との、合同任務とはな」