#05

偽りの平穏は破られ、世界は再び動きだそうとしていた。

《――我々は幾度となく協議を重ねてきました。しかし、依然として納得のいく回答は得られず、未だにテロリストを匿い続ける現プラント政権は、地球にとって明らかな脅威であると判断いたします》
《よって、先の警告通り地球連合各国は本日午前零時をもって、武力によるこれの排除を行使することを、現プラント政権に対し通告いたしました――》




《――第一戦闘群、間もなく戦闘圏内に突入します。全機、オール・ウェポンズフリー》
ノイズ交じりの管制の声を確認したと同時に、両軍のモビルスーツ隊の砲撃が始まった。
漆黒の闇を行き交う光に何機がが貫かれ、爆散する。
何十もの爆発の光を尻目に、ジークのフェンリルが迫る敵の胴をすれ違いざまに斬り落としていく。
そしてまた新たな敵を標準に捕らえ、落とす。
ジークは呟いた。
「…キリねぇな。これは」
落としても次から次へと現れる敵に、ため息をつく。
パイロットの質はザフトの方が勝っているが、数の上では連合の方が有利だ。
「だが…」
ブースターをあげた際に身体にかかる重力が彼の胸を躍らせる。
「雑魚がどれだけいようと、な…!」
連合の機体はフェンリルの速さに対応出来ずに散っていく。
ジークが視線の先に戦艦群を捉えた時、ブルーとシルバーのザクが、フェンリルの横を駆け抜けた。
ブルーのザクが続けざまに敵機を射落とし、シルバーのザクが巨大なビーム砲で並んでいた二隻の戦艦を一気に狙い撃ちする。
イルミとエルヴィンだ。
焦らされた分、彼らも楽しくて仕方ないのだろう。
《おい、いつまでハエ退治してればいいんだよ?》
グレイの機体との回線が開かれる。
モニターに映るグレイは、既に飽きた様子だった。
グレイは数をこなす戦闘より、強い敵を相手にしてスリルを感じることを好む。連合の量産機程度では、彼を満足させることは出来なかったらしい。
《とっとやろうぜ。“あれ”》
2人は片手間に敵機を落として言葉を交わす。
漆黒と真紅のモビルスーツが駆け抜けた宙域は眩い閃光が弾けた後、無数の鉄屑だけを残して沈黙した。
「ばーか。こちらから仕掛けたら意味がないだろ」
ジークは遥か遠く極軌道側に視線をやり、愉悦を含んだ言葉を呟いた。
「…きっと、綺麗だろうな」