「きれい…!」
目の前のモビルスーツを見上げて、フィーネの弧を描いた唇から感嘆が漏れた。
真っ白なそれは、格納庫でライトアップされて輝いていた。
フィーネがテストパイロットとして開発中からみてきた地球連合の新型モビルスーツ。ジブリールからの“ご褒美”
ずっと待ち望んでいた新たな力だ。
フィーネは嬉しそうに機体の周りを一周し、様々な角度から見上げた。宝石のような瞳は喜びに満ちていた。
軽快な動作でコックピットに飛び乗って、シートに身体を預ける。
「アレウス」
機体の名を呼ぶ。綺麗な響きだ。
目を閉じて、記憶の中の戦場に思いを馳せた。死と隣り合わせの極限の状態は、フィーネの心を沸き立たせる。
「後で、ジブリールにお礼を言わなくちゃね」
そう、“後で”…
今はだめだ。今の彼に話しかけたらまた痛い思いをしてしまう。
地球連合によるプラントへの核攻撃が失敗に終わったと一報が入ってから、ジブリールの機嫌は悪かった。
ジブリールの前では口が裂けても言えないが、フィーネは作戦が失敗に終わってホッとしていた。
プラントを消されては、自分の戦う意味が無くなってしまうから。
戦えない者は“廃棄”される。
それは、昔からフィーネの生きる世界のルールだ。
――まだ、自分は戦える。
フィーネは胸を高鳴らせて、新たなパートナーに話しかけた。
「これからよろしくね、アレウス」