プラント、アプリリウス。最高評議会が入るビルの長い廊下に、足音が響いた。
赤服のザフト兵がネイビーブルーの髪を靡かせ颯爽と歩く。宝石を思わせるグリーンの瞳は真っ直ぐ前を見つめていた。
彼、アスラン・ザラは今久しぶりに袖を通した軍服に、感慨深さと重圧を感じていた。



「君が決心してくれて本当に良かった」
執務室の椅子から立ち上がり、デュランダルは柔和な笑みを浮かべた。
アスランは真剣な眼差しで大きく頷く。
「先日…議長にお取り計らい頂いたおかげで、かつての戦友に会うことが出来ました。そこでキツく叱られまして」
「叱られた?」
「お前も何かしろと。力があるなら無駄にするな、と」
かつての戦友の、何年経っても変わらない真っ直ぐな瞳を思い出して、アスランは懐かしむように頬を緩めた。
アスラン・ザラ。
前プラント最高評議会議長パトリック・ザラの息子にして、ザフトのエースパイロット。ネビュラ勲章を授与され、特務隊“FAITH”にまでなった彼は、その後軍を脱走しオーブに亡命していた。
そんな彼が、アプリリウスにやって来たのは数日前のこと。
再び開戦し、自分の今の立場では何も出来ないと思い悩んだ彼は、デュランダルを頼ってやって来たのだ。デュランダルは彼を快く受け入れ、今こうしてこの場に再びザフトの軍服を着て立っている。
「今度こそ悲劇の連鎖を止める為に、自分は戦います」
迷いの無いその表情に、デュランダルは満足感を漂わせて笑った。
「ありがとう。君ならやってくれると、私も信じているよ」
その言葉に、アスランはデュランダルの自分に対する期待を感じて、胸が熱くなる。
「想いを同じくする者は共に立ってもらいたい。これから、宜しく頼む」
「はい!」
デュランダルから差し出された手を、アスランは強い決意を込めて握り返した。