広い甲板で膝を抱えたステラは、海を眺めていた。
海は好き。青くて、キラキラ光って、静かな波の音も好き。
「ここに居たの、ステラ」
大好きな声が聞こえて、ステラは振り返った。
海と同じ綺麗な水色の髪をなびかせて、フィーネが「探したのよ」と笑いかける。
「フィーネ!」
「ただいま、ステラ」
フィーネはステラの隣に腰をおろした。
地球に降りてから、フィーネはしばらく別行動だった。久しぶりに大好きなフィーネが隣に居ることが嬉しくて、ステラは「おかえりなさい」と彼女に抱きついた。
抱き締めた彼女は、花のような甘くて良い香りがした。シャンプーか香水か分からないが、いつものフィーネの匂いだ。
フィーネはステラを受け止めて、フフッと小さく笑った。
「雨、やんで良かった」
空を見上げてポツリと呟く。
それにつられてステラも空を見上げると、海の上に大きな虹がかかっていた。
「…きれい」
「ステラ、まだここにいる?」
「…うん」
「でも、ネオが呼んでるよ」
「ネオが?」
ステラは目を輝かせて勢いよく立ち上がった。
ネオが自分達を呼ぶということは、きっとまた“戦争”だ。
“戦争”も大好き。
「また、お仕事だよ。良かったね」
フィーネの声は穏やかな波音みたいだ。優しくて、安心する。
フィーネ、ネオ、海、戦争…
この世界は、ステラの大好きなもので溢れていた。
ステラは胸を踊らせて、「はやく!」とフィーネの手を引いて艦内へ入っていった。