#13

「また新型か。ザフトは凄いねぇ」
ミネルバから射出された4機のモビルスーツをモニターに確認して、ネオは感心したように言った。
1機はもう何度も交戦して見慣れている、スティングたちの機体と同型機。“インパルス”。
隣の黒いモビルスーツは、確かユニウスセブンにも居た機体だ。照合された機体名に、ネオは目を見張った。
「あの、“漆黒の餓狼”か…凄いのが参戦してきたな」
ザフトのエリートの名は、連合でも有名だ。
当時16にして、連合のマスドライバー施設を有する大規基地「カオシュン宇宙港」への侵攻作戦を指揮し陥落を成し遂げたその能力は、ナチュラルにとってコーディネーターの存在を畏怖すべきものと再認識させた。
その他の2機は初めて見る機体。照合してみるが、コンピュータは「不明機」と表示するだけだ。
「随分とパイロットの層が厚いな、ミネルバは」
「羨ましいねぇ」と呟くと、スティングの“カオス”から不貞腐れたような声が聞こえた。
《ふん!あんなモノ…!》
“カオス”が急加速してモビルスーツ群から抜けた。
負けず嫌いの彼の事だ。
ザフトを称賛するようなネオの口調が気に食わなかったのだろう。
「おいおい…」
若干冷静さを欠いたように見える行動にネオはスティングを呼び止めようとするが、直ぐに無駄だと悟った。
「まあ、いいか」と、ネオは標準をインパルスに合わせた。
「俺は馴染みの白いのをやらせてもらう」
並走する“アレウス”に向かって言う。
「フィーネも、好きなようにしていいよ」
繋いだ回線に映ったフィーネは力強く頷いた。



フィーネは冷静に戦況を確認していた。
“カオス”が赤いモビルスーツに向けてミサイルを放った。
ネオは“インパルス”に狙いを定めている。
作戦の通りならば、アウルの“アビス”は海中からミネルバに向かっているはずだ。
残っているのは2機。
銀色の機体が既に“ウィンダム”に囲まれているのを視界の片隅で確認して、思わず呟いた。
「きれい…」
その機体は青い空の下、美しい輝きを放っていた。
新型ならどれくらい強いのだろう。
自分が向かうまでに残ってくれてるといいけど…
フィーネは残りの1機、黒いモビルスーツに標準を合わせながら考える。
銀色を楽しむ前に、まずは一つずつ片付けなければいけない。
表示された黒い機体の名に、眉を顰めた。
「フェンリル…?」
頭の中にまたあの痛みが走る。
初めて相見えるその機体に、ザワザワと胸が忙しくなるのを感じた。
戦場独特の多幸感とは違うそれに、フィーネは顔を歪めた。
既に戦闘を始めた周りの機体から、無数のビームが飛び交う。フィーネも“フェンリル”に向かって急いだ。

初めまして、だけど…
「たぶん…君、嫌いなタイプね」