放たれたビームをかわし、一機ずつ確実に機体の中心を狙う。
「――7、8、9…」
向かって来る“ウィンダム”を次々と墜としながら、アーシェは歌うようにカウントする。
視界の片隅でジークの“フェンリル”が白いモビルスーツと交戦しているのが見えた。
連合の新型。アーシェは遠くで光るその純白の姿を、美しいと感じていた。
どれくらい出来る機体なのだろう…
交戦出来るジークを羨ましいと思いながら、自分を取り囲む“ウィンダム”を撃墜することに意識を戻した。
「…あれ?」
敵機が放ったビームが“フリッグ”の右腕を掠めた。
直ぐにビームサーベルを抜いてそれを胴から斬り落とすと、“フリッグ”に尋ねた。
「いまので何機目?」
余所見をしていたらカウントを忘れてしまった。
フリッグが機嫌良く答える。
「そう、15か…」
とりあえず、半分。
そう思っていた矢先に、さらに“ウィンダム”が群れをなして向かってくるのが見えた。
アーシェは思わず苛立ったように声をあげた。
「どこから出てくるのよ!?こんなにッ…!」
技量は明らかに自分の方が上だ。
だが、討っても討っても湧き出るように減らない敵機の数に、アーシェは舌打ちをした。
辺りを見回しても艦隊の姿は確認出来ない。これ程の数のモビルスーツならば、どこかに陸の拠点があるはずだ。
そんな中、シンの機体“インパルス”が一機の“ウィンダム”に苦戦していることに気付く。
交戦の様子を見る限り、他の“ウィンダム”とは技量が違う。
恐らくあれが指揮官だ。
こうなったら、指揮官を潰してさっさと終わらせてしまおう。
「シン!」
すれ違い様に他の“ウィンダム”を墜としながら、アーシェは“インパルス”の方に向かって急いだ。




“フェンリル”が放ったビームを左右に機体を振って躱すと、それはビームサーベルを抜いた。
ジークは“フェンリル”を後退させながら、武器をライフルからサーベルに持ち変えると、斬りかかってくる白い機体の攻撃を受け止めた。
斬り結んで睨み合いながら、ジークは湧き上がる懐かしさに不敵な笑みを浮かべた。
一点の迷い無く向かって来る、スピード重視のモビルスーツ。恐らく白兵戦に特化した機体だ。
これは、ナチュラルの技量ではない…
この戦い方を得意とするパイロットを、ジークはよく知っていた。
ここ少しでも退いたらそこで直ぐ様コックピットから斬り落とされるだろう。“フェンリル”のブースターを一気に上げて押し返すと、少し退いた相手の脇の下が空いた。瞬間、“フェンリル”は相手の胴を蹴り上げて一度相手と距離を取る。
蹴り上げられた衝撃でバランスを崩した白いモビルスーツは、体勢を整えようと宙返りした。その隙を見逃さず、右脚を撃ち抜いた。
それでも、それは怯まなかった。
尚も向かってくる攻撃を器用にいなしながら、ジークは血が奥底から沸き立つのを感じた。
真っ直ぐ向けられる強い殺意に、全身が歓喜に震えていた。停戦後、もうしばらく感じる事が無かった感情だ。
ジークは思わず唇を舐めた。
「よく似合ってる、そのモビルスーツ…」
強くて、美しい。
ここまで楽しませてくれるパイロットは、そうそう居ない。

嗚呼、本当にお前は…
「最高の女だよ!フィーネ!」