「――だから言ったろ?余裕だって」
両手に握った銃を床に投げ捨てて、アウルが得意げに言った。
「まだ終わってないだろ」
スティングは頬に付いた返り血を手の甲で拭って、アウルを咎める。
本来の目的は、ここからだ。
ステラの方に視線をやれば、彼女は床に散った鮮血を光の無い瞳で見つめていた。
ぼんやりしていて頼りない少女とは違う。“スイッチ”が入った時の兵士の顔だ。
コーディネーターってこんなもんか。
期待はずれだな。足元に折り重なるザフト兵を見下ろしてアウルは少しだけ残念に思った。
それほど敵兵の彼等が事切れるまでの時間が、一瞬だったのだ。
アウル達が目標がある格納庫の重い扉を空けてから、不意をつかれた彼等は何ひとつ抵抗らしい抵抗をしなかった。
もう少し楽しめるかと思ったのに…
アウルは退屈そうに歩を進め、目の前に横たわるモビルスーツを見上げた。
圧倒的な強さを誇示するように、目標の3機は格納庫の中央に存在していた。
行くぞ。スティングが目配せしたのを合図に、3人はそれぞれの機体に飛び乗る。
シートに座り、OSを立ち上げる。
身体中に広がるゾワゾワした感覚に、アウルは懐かしさと興奮を覚えて唇を舐めた。

―― ZGMF-X31S アビス

これが、これから自分とともに戦場を駆ける相棒の名だ。
アビスのメインカメラを通して見える先程のコーディネーターの亡き骸に、アウルは「ごめん」と口先だけの謝罪をした。
この謝罪も明日には忘れる。彼等はこれから積上げていく死体の山の一部でしかない。

「俺ら、強くってさぁ!」