#02
「いったい、どういうことだ!?」
ボルテールのブリッジの扉が開いたと同時に、ジュール隊隊長、イザーク・ジュールの怒声が響いた。
新人の管制官がビクリと肩を震わせたのを、アーシェは見逃さなかった。
無理も無いとアーシェは同情の念を覚えた。
実戦経験が少ない停戦後の入隊組にとって、この張り詰めた空気は慣れないものだ。
それはアーシェも同じだった。平静を装おうと震えそうになる唇をキツく結んだ。
ザフトの新型戦艦ミネルバの進水式が予定されていた“アーモリーワン”で、新型モビルスーツが強奪されたと知らせが入ったのはつい数分前。予期せぬ事態にザフトは騒然としていた。
「本国からは?」
イザークがアーシェに尋ねる。
「月起動艦隊は第2戦闘配備だそうです」
「この状況で、ただ待つだけだと…」
「仕方ないさ、イザーク」
ジュール隊の副長、ディアッカ・エルスマンがなだめるようにイザークの肩を叩く。イザークと同様に、彼の表情もまた険しかった。
「今は任せるしかない」
「そんなことは分かっている…!」
イザークはやり場のない怒りから拳を強く握った。
目の前のモニターには静かな宇宙が映し出されている。ボルテールのクルーは皆、ただそれを見つめることしか出来なかった。