『香り』



今宵は
あやうい月が
雲の切れ間より
顔ヲ覗かせています

気づくと私は
溜息ばかり
ついており



湯上りの肌に
ボディクリームを
すり込むと
ベランダに出る

ふわり香る秋の訪れ
煙草の煙が月に向かって
立ち上がってゆきます


見上げた暗闇の
香り立つ妖艶な光を
ぼんやりと浴びながら


私はまた
深い溜息をつく


夏の終わりの涼しい風が
私を纏い涙をさらってゆきました



- 14 -
目次
HOME