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ソフィアは早々に寝室に行き、ベッド周りのカーテンを閉めて寝転んでいた。クルックシャンクスへの対策だ。そのカーテンを物凄い勢いで開けたのがハーマイオニーだった。
「な、何…?どうしたの?」
「ソフィア、私、どうしよう…」
ハーマイオニーはいつになくそわそわしている。ソフィアはベッドの中のランプをつけてハーマイオニーを中に招き入れた。
「何かあったの?」
「ビクトール・クラムに申し込まれたの…」
「え…、え…!?」
ソフィアは思わず自分の顔に手を当ててしまった。ただ、格別な驚きはなかったと言ってもいい。彼はソフィアにハーマイオニーのことを尋ねに来ていた。
「もう返事をしたの?ミスター・クラムのパートナーとしてパーティーに行くの?」
「いいえ、返事はまだ…。よくわからなくなって黙っていたら、三日後また返事を聞きに来てくれるって…」
「ハーマイオニー、迷ってるんだね?誰か誘いたかった人がいるの?」
ソフィアはここしばらく疑問に思っていたことを尋ねてみることにした。薄明かりに照らされたハーマイオニーの頬は赤い。
「別に、私はあの人から申し込まれたいなんて――」
「あの人って誰?…勘なんだけど、ロン?」
ハーマイオニーは驚いて目を見開いた。その仕草に全てを察して、ソフィアは笑った。
「…やっぱり。ねえ、誘ってみたら…?」
「無理よ、ロンは絶対私となんか行きたくないって言うわ」
「そんなことないわよ。…正直言って、ロンは他に誘ってくれる女の子がいなさそうだし…ハーマイオニーが誘ってくれれば、きっと喜ぶわ」
そうだ。ハーマイオニーが誘えばロンは断る理由がない気がする。ここ数日、ロンたちとは別行動している。隣にいつも行動を共にする女子がいては、男の子たちを誘いたいかもしれない女の子が近付いてこないだろうと思ったためだ。
「とにかく、向こうからでも誘ってくれない限り無理よ。三日後までにロンがわたしを誘わなかったら、ビクトール・クラムの申し出を受けることにしようかと思うの。…彼をキープするようで気が引けるけど」
ハーマイオニーは困ったようにソフィアを見た。
「だって、この行事の目的は国際的な魔法協力の促進でしょう?図書館での件も彼自身が悪いんじゃないって、ソフィアが教えてくれたもの。確かに彼は静かに本を読んでいるだけだったわ。それもかなり難しい本。すごく優秀な人なのよ、彼にとっては外国語の本を熱心に読んでるんだから――」
ハーマイオニーがクラムを好意的に見るようになっていたことが、ソフィアには素直に嬉しい。
「うん。あんまり固く考えずに、ハーマイオニーのいいようにしたらいいと思う…」
「そうするわ。…ところであなたはどうなの?ハリーから来た?」
「……まだ」
ソフィアはハーマイオニーに、様々な男性から誘いが来ること、そしてセドリックのことを話した。
「…私、こういうの本当に向いてない…。なんだか気疲れしてきちゃった」
「でも、一人でパーティーに行くわけにはいかないでしょう?もういっそのこと、ハリーに直接言うべきよ」
「……いいよ、それに…言ったところで彼は私を誰にも誘われなかったと、気遣っちゃうと思う…。そもそもチョウが好きなんでしょう?私じゃ無理よ…」
「…ソフィア…」
ハーマイオニーは手を握って励ましてくれた。そして、ソフィアも一つの決心をした。ハーマイオニーと同じように三日後までにハリーが誘ってこなかったら、知り合いの誰かに頼むと。他にいるとすれば、双子は同じ学年のチームメイト・アンジェリーナやアリシアと仲がいいのでもうパートナーが決まっているだろう。シェーマスがラベンダーと行くなら、ソフィアが気軽に誘える相手はネビルかディーンくらいだ。