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 ソフィア、ハリー、ロン、ジニー、ロックハートが、泥まみれのネトネトで(ハリーはその上血まみれで)戸口に立つと、一瞬沈黙が流れた。そして叫び声があがった。

 「ジニー!」

 ウィーズリー夫人だった。暖炉の前に座りこんで、泣き続けていたウィーズリー夫妻が飛び上がって駆け寄り、ソフィアと手を繋いでいたジニーに飛びついて抱きしめた。しかし、ハリーとソフィアの目は、ウィーズリー親子を通り越した向こうを見ていた。ダンブルドア先生が暖炉のそばにマクゴナガル先生と並んで立ち、ニッコリしている。

 あの後、ハリーがジニーを連れて帰ってきた時、行く前には持っていなかったものを四つ持っていた。

 一つは、表紙に穴の空いたボロボロで血まみれのリドルの日記。
 もう一つは、つぎはぎだらけの古い組分け帽子。
 もう一つは、ルビーの散りばめられた眩い銀色の剣。
 最後は、ダンブルドアの不死鳥――フォークス、トンネルで聞こえたあの歌声の主だ。

 まだ詳しいことはハリーから聞いていなかったが、最後の三つがハリーの力となって、ジニーを助け出したのは明確だった。それに、「秘密の部屋」を開けたのが、ジニー・ウィーズリーであることも。しかし、ソフィアもハリーも、そのことに関しては何も言わなかった。

 フォークスがハリーの耳元をかすめて、ダンブルドアの肩に飛び移った時、ソフィアもハリーもロンもウィーズリー夫人にきつく抱きしめられた。

 「あなたたちがあの子を助けてくれた!あの子の命を!どうやって助けたの?」
 「私たち全員がそれを知りたいと思っていますよ」

 マクゴナガルがぽつりと言って、ウィーズリー夫人は三人からようやく手を離した。ハリーが自分に目配せしたのがソフィアにはわかった。日記や組分け帽子、剣を取り出して、ハリーは歩いていきそれらをテーブルの上に並べる。ハリーは自分の体験した一部始終を語り始めた。
 誰もが黙って聞いた。奇妙な虫食いのように、ハリーが話さないようにしている箇所にソフィアは気がついたが黙っていた。ジニーを退学にしたくない思いはソフィアも一緒だった。ジニーが操られていたのだと証明するリドルの日記は、もうぼろぼろの穴のあいたただの日記になっている。
 だがリドルの日記やジニーのことに触れないように喋るのは限界があった。ハリーがためらって口を閉じると、今度はダンブルドアがゆったりした口調で言う。

 「わしが一番、興味があるのは」

 ヴォルデモートは、ダンブルドアの情報によると現在アルバニアの森に隠れているとのことだ。そんな彼が、どうやってジニーを……と言いかけたところで、ハリーがリドルの日記を差し出した。

 ジニーとヴォルデモート卿が密接な関係にあったことを知って、取り乱すウィーズリー夫妻をダンブルドアが宥めると、ジニー本人の口からリドルの日記についてしゃっくりを上げながら話した。

 仰天したウィーズリー氏が、ジニーに日記のことを強く問い詰め始めたところで、ダンブルドアはジニーに医務室へ行くように進める。医務室では、丁度マダム・ポンフリーがバジリスクの犠牲者にマンドレイクのジュースを飲ませたところで、今にも生徒たちが目を覚ますのを待っているところらしい。

 時期にいつも通りの日常がやってくる。ハリーもロンも、ハーマイオニーの無事を喜んで笑顔を浮かべた。

 ウィーズリー夫妻に付き添われたジニーが、通り過ぎざまに「ありがとう」とソフィアに伝えてからマクゴナガルの部屋を出て行った。ダンブルドアは、盛大な祝宴を催す必要があるとマクゴナガルにキッチンにその旨の伝言を頼んだ。「処置は先生におまかせしてよろしいですね?」とキビキビ部屋を後にした後、ダンブルドアはハリーとロンに二百点ずつ与え、更にホグワーツ特別功労賞を授与することを約束した。

 「ダンブルドア先生、その……ソフィアも賞をもらうには充分に値すると思うのですが……」

 ハリーは、未だにロックハートと並んで部屋の後ろに立ったままのソフィアを振り返る。

 「エムリスさんについては、後程としよう。君は、わしの部屋で……フム、レモンキャンディーでも舐めながら待っていてはくれぬかの」

 「はい」

 ソフィアは、ドアを開いて外に出る。扉を閉める前に、一度部屋に向き直ってから深くお辞儀をした。頭を上げると、ハリーとロンが不思議そうにこちらを見ていて、ロックハートはすっかり人のよさそうな笑みで手を振っている。ハリーとロンの間に立つ、ひょろりと背の高いダンブルドアの群青色の慈愛に満ちた眼差しと視線を合わせ、ソフィアはドアを閉じた。

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