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 ブラックが城内に入り込んだと分かるや否や、ソフィアは怖々辺りを窺って、杖をローブから取り出してハリーの前を歩いた。ハーマイオニーとロンがハリーの左右を固めて、厳めしく目を走らせている。ハリーは友人三人の護衛もどきに気がついてうんざり顔をしたが、なにも口にしなかった。

 全校生徒が大広間に集められ、ここで夜を明かすことを伝えられた。ダンブルドアが人数分の寝袋を魔法で出現させ、監督生と首席が見回りと下級生の世話に奔走している。ソフィアたち四人は壁際に寝袋をひっぱっていき、そこで眠ることにした。

 「ねえ、ブラックはまだ城の中にいると思う?」

 ハーマイオニーが心配そうにささやいた。

 「ダンブルドアはそうだと思ってるな」

 ロンが短く答えると、ハーマイオニーが呻いた。かすかに肩がふるえている。

 「今夜を選んでブラックがやってきたのはラッキーだったわ。だって、今夜だけはみんな談話室にいなかったんですもの」
 「逃亡生活が長くて時間の感覚がなくなってたんだろう。そうじゃなきゃ、大広間を襲撃してたぜ。いったいどうやって入り込んだんだ?」
 「『ホグワーツの歴史』に書いてあるけど、ホグワーツには侵入者を防ぐありとあらゆる呪文がかけられてる。城を守っているのは城壁だけではないの。ここでは姿あらわしは出来ないし、入口は全部ディメンターが固めてるから変装しても無駄。空を飛んできたって気付かれたはずだし、抜け道は全部見張られてる…」
 「消灯!」

 ハーマイオニーのささやきに被せて、パーシーが大きな声で言った。途端大広間が暗くなり、ソフィアの寝転がる眼前に星夜が広がった。そんな薄明かりの中、生徒たちはそこかしこでひそひそと話しあっている。
 そしてとうとう夜中の三時を越え、既に殆どの生徒が眠りについた。ふいにすぐそばで足音が響く。ダンブルドアが大広間に戻ってきた。

 「校長」

 もうひとつ足音が近づいてきた。暗がりの中目を凝らすと、ダンブルドアとスネイプのシルエットが浮かび上がった。

 「城内はくまなく探しましたが、どこにもいません」
 「そうか。御苦労じゃった。ブラックもそうぐずぐずはせんじゃろうと思っておった」
 「ブラックがどうやって城に押し入ったか、心当たりは?」
 「セブルス、様々な方法がある。ただ、どれもあり得んことじゃ」

 ダンブルドアの言葉に、スネイプは少し苛立ったように声を荒げた。

 「校長、覚えておいででしょうな?この夏の我々の会話です。内部の者の手引きなしにはブラックが城内に侵入するのはほとんど不可能です。私はしかとご忠告申し上げました。校長が任命された――」
 「城内の者がブラックの手引きをしたとは思っておらん」

 ダンブルドアがきっぱりと言うと、スネイプはそれきり黙った。
 新任の教師はハグリッドとリーマスだけだ。ソフィアはこの会話に大した収穫がないと思った。リーマスがブラックの手引きをするなどというのはあり得ない。

 「わしはディメンターたちに会いに行かねば。捜索が終わり次第報告すると言っておったのでの」

 ダンブルドアが去ると、スネイプも静かに去っていった。隣のハーマイオニーの目は開いていた。ハーマイオニーを挟んで寝転ぶハリーとロンもそうだろう。

 「いったい何のことだろう?」

 ロンが静かにささやいた。

 ***

 クィディッチ開幕戦が近付くにつれ、天候がどんどん悪くなった。談話室の暖炉のそばでぬくぬくしていたソフィアは、談話室に戻ってきたクィディッチメンバーを見た。

 「お疲れさま。どうしたの?なんか荒れてるね…」
 「開幕戦の相手がスリザリンからハッフルパフに変更。『スリザリンのシーカー』の腕が本調子じゃないって」

 ハリーが顔をしかめた。その脇で、双子が音を立ててソファに座り込む。マルフォイはあの怪我を本当に有効に使う気らしい。この悪天候の中の試合はどの寮も本意ではないだろう。クィディッチは悪天候でも中止にならないスポーツだ。

 「ハッフルパフのこと、オリバー気にしすぎじゃないか?ハリーが入ってから俺たち負けなしだぜ?」

ジョージが心底嫌そうに言うと、フレッドも頷いた。

 「ここ二年間で俺たちが負けたのは、ハリーが入院してた一昨年のレイブンクロー戦ぐらいじゃないか」
 「去年は試合そのものがキャンセルだったけど」

 ハリーが、出来るだけ自惚れに聞こえないように慎重に言った。確かに、ハリーは出場した全試合でスニッチを手にしている。その後フレッドやジョージによると、ウッドの演説は「ディゴリーは強力なチームを編成した!」や「優秀なシーカーだ!」など長々と続いたらしい。

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