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十一月の終わり、クィディッチでレイブンクローがハッフルパフをぺしゃんこに負かした。これでグリフィンドールのチームにも優勝の道が拓ける。ハリーを含む選手たちは皆明るくなり、ウッドなどは再び狂ったようなエネルギーを取り戻した。雨は十二月まで降り続いた。じっとりとした湿気に嫌気がさすも、校内には吸魂鬼の影すらいないので、取り敢えずは安心できた。ダンブルドアの怒りが、吸魂鬼を持ち場である学校の入口に縛り付けているようだった。
学期が終わる二週間前、急に空が明るくなり、眩しい乳白色になったかと思うと、ある朝には泥んこの校庭がキラキラ光る霜柱に覆われていた。城の中はクリスマス・ムードで満ち溢れる。フリットウィック先生は自分の教室にチラチラ瞬くライトを飾り付けていた。みんなが休み中の計画を楽しげに語り合う。ソフィアは言わずもがな、今年もホグワーツに残ることを三人に伝えている。ロンとハーマイオニーも残ると言ったので、ハリーは嬉しそうに笑った。学期最後の週末にホグズミード行きが許された。ソフィアはサインがないので行かないと言っていたが、ついにそれが嘘だとハーマイオニーにばれてしまい説教をくらってしまった。
「まぁ、ハリーのことを思ってだと思うけど……ハァ」
流石に呆れて最後にはハーマイオニーは怒る気力もなくしていたとか。
「う…ご、ごめんなさい…」
ハリーは許可証のサインが無いので、何があってもホグズミード行きは許されない。閉鎖的な城の生活に飽きた三年生は自分を含めみんなが参加する筈だ。ハリーを一人城に残すのはやっぱり心苦しい。
「どうしたんだい?ソフィア」
「まるでホグズミード行きがつまらなそうな感じだな」
溜め息をついた彼女の後ろをちゃっかり捉え、ウィーズリー家の双子がひょっこり顔を出した。今は土曜の朝。ホグズミード行きの時間までもう少しだ。三人よりも支度が早かったソフィアは談話室で彼らを待っていた。
「…そんなことないわ」
笑って首を振った。しかし本心ではないのでぎこちない。双子がそれを見逃すはずがなかった。
「じゃあどうして溜め息を?」
「一緒に行く相手がいないとか?」
「そうじゃなくて…」
なら僕らと行こうか、とジョージが言う前にソフィアは否定した。もちろん、ロンとハーマイオニーと行く約束をしているのだ。
「「じゃあどうして?」」
ついに二人が音をあげた。声を揃え同時に肩を竦める。タイミングを合わせようとしているわけでもないのに、何故こうもピッタリなのだろう?ソフィアは小さく息を吐いた。溜め息でなく、純粋な呼吸である。いくら悩んでも仕方ないことだ。自分は権力持ちでもないしまだ学生である。当人でもないのにこんな所で一人悩んで何になる?双子が気に掛けてくれるのに申し訳なく思う。
「本当に何でもないの。ただ……」
「「ただ?」」
「…皆で行くことが、一番楽しいことだから」
同じ顔が同時に傾いた。ソフィアは「それだけだよ」と話題を切り上げ、ちょうどそこに現れたロンとハーマイオニーの所へ向かう。
「気にしないで。それじゃ、またね」
ヒラヒラと手を振って談話室を出た。残された双子は互いに顔を見合わせる。そしてチラッと視線を合わせ、そして不敵にニヤリと笑った。