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ソフィアが目を覚ましたのはもう朝とは言えない時間帯で、昨夜なかなか寝付けなかったせいだと思いながら身体を起こすと、隣のベッドからハグリッドとハリーの話し声が聞こえてきた。どうやらハグリッドは泣いているよう。
「みんな…俺のしくじりのせいだ!悪い奴等に、フラッフィーを出し抜く方法をしゃべくってしもうた。俺が奴に話したんだ!奴はこれだけは知らんかったのに、しゃべくってしもうた!おまえさんは死ぬとこだった!たかがドラゴンの卵のせいで。もう酒はやらん!俺なんか、つまみ出されて、マグルとして生きろと言われてもしょうがない!」
「ハグリッド!あいつはどうせ見つけ出していたよ。相手はヴォルデモートだ。ハグリッドが何も言わなくったって、どうせ見つけていたさ」
「おまえさんは死ぬとこだったんだ。それに、その名前を言うな」
「ヴォルデモート!」
突然叫んだハリーに、ソフィアは肩を揺らした。
「僕は彼と面と向かったし、あいつを名前で呼ぶんだ。さぁ、ハグリッド。元気を出して。僕たち、石は守ったんだ。もうなくなってしまったから、あいつは石を使うことはできないよ。さぁ、蛙チョコレートを食べて。山ほどあるから…」
ハグリッドが鼻水を啜る音が結構な音だったので、ソフィアは笑ってしまった。それに気付いたのか「ソフィア?」とハリーの声が聞こえ、ソフィアはカーテンを開けた。
「二人共、おはよう」
「ソフィア!良かった!もう平気なの?」
「うん」
「ソフィア、ほんとにすまんかった!俺のしくじりのせいで…」
「ハグリッド、また同じこと言ってるよ。私もハリーと同じ意見だから、もう気にしないで」
ハグリッドはまたほろほろ泣き出してしまい、ハリーが泣き止むように説得し、ハグリッドはまた鼻を啜った。ハグリッドが医務室から出て行った後、ハリーはハグリッドから貰ったのだとアルバムを差し出した。
「ハグリッド、父さんと母さんの友達にフクロウを送って写真を集めてくれたんだって。見てほら、これが僕の父さんと母さんだよ」
ハリーがソフィアに見やすいように角度を変えてくれた。それを覗き込むように見つめ、小さく笑う。
「…ふふ…ハリーってお父さんにそっくり」
ハリーは「そうかな?」と照れ臭そうに頭を掻く。二人が談笑していると、ようやく涙が落ち着いたらしいハグリッドがポケットから一枚の写真を手に取って、今度はそれをソフィアに渡した。
「え…?」
「ソフィア、お前の親父さんの写真だ。なにぶん、お前の両親は事情があって写真が殆どなくてな、今んところ、この一枚は探し出せたんだ」
写真にはソフィアの父親であるという、一人の青年が写っていた。ソフィアたちと同じグリフィンドールのローブを着て、森の中だろうか、木の幹に寄り掛かり手には本を持っていた。こちらに向かって軽く手を挙げている。
ソフィアは初めて見る親の姿に、心臓が波打つような感覚がした。写真の端にはよく見ると、アラン・エムリスと書いてある。苗字が一緒なことから、これが父の名であることは直ぐ分かった。
「アラン…エムリス…」
今まで見たことも、聞いたこともなかった、父の姿。
「母親の方は見つからなくてな…。俺も今は、アランがお前の親ということしか教えられん。すまんな…」
「ううん。これだけでも十分嬉しい。…ありがとう、ハグリッド」
「ソフィアのお父さん、かっこいいね」
「…うん。ハリー、写真…大切にしようね」
「勿論!」