お昼休憩、天気がいいから外で食べようと詩音に誘われ裏庭にやってきた、が。

「げ、アンタたちもか」
「おい、態度に気ぃつけろ。先輩やぞ」
「この中じゃ健次郎くんだけだよ、3年なのは」
「だからってオレがお前ら2年に合わせられるわけないやろ!?」

既にそこには先客がいた。
EXILE部の仲良しグループ、2年の登坂、今市、エリー、岩田、3年の健二郎。

「如月さんたちもここでご飯?」
「うん、天気よかったしね」
「やっぱ考えることは皆一緒か」
「まぁアンタらがここにいるなら、私達は別んとこいくよ」
「いいじゃん、一緒に食べようよ」

優しいエリーがそう言ってくれたので、百合と詩音も彼らの言葉に甘えることにした。

「うわ、そんだけで足りるんか?」
「そんだけって…健次郎さんがよく食べる方なんじゃないんですかー」
「にしたって弁当箱ちっさ」
「女子だねー」
「お母さん作ってくれてんの?」
「私はそうだけど、百合ちゃんは自分で作ってるよ。ねー」
「え、マジで?すごいね」
「ええお嫁さんになるなーほんま」
「ちょっと健次郎くんオヤジくさいよ」
「どつくぞあほ」

詩音と百合がお弁当で、男子たちは全員購買で買ったと思われるパンやおにぎりだった。

「アンタら毎日買ってんの?」
「オレはたまに作ってるけど今日は寝坊したから」
「まぁオレも時々自炊かな」
「おー今市くんと登坂くんは、それっぽい」
「岩ちゃんは毎日パンだよね」
「うん、焼きそばパン最強」
「百合ちゃんに作ってもらえば?」

二人が幼馴染であることは全員知っている。
生活力の足りない岩田を百合が支えていることも勿論。

「いやーさすがにそこまで頼むのは気が引ける」
「そうだよ、大体、百合になんでもかんでも頼もうとする根性を治しやがれ岩田この野郎」
「毎朝百合ちゃんに起こしてもらいやがって岩田この野郎」
「たまに宿題写させてもらいやがって岩田この野郎」
「なんなのこれ集団いじめか」

全員で岩田をからかうなか、百合はひとり黙々と卵焼きを頬張っていた。
そして、ふとある事実に気づいた。

「お茶…きれてた」
「さっき体育のあととか飲んでたからねー少なかったんだ」
「買ってくる」
「オレのあげよっか?」
「大丈夫、すぐ近くの自販機いくだけだから」

岩田の言葉をやんわりと断り、小銭を手にした百合はお目当ての自販機へと向かっていった。

「岩ちゃんもしや間接キスとか狙ってた?」
「んなわけないって、今更なによ」
「全くどうして君たちが付き合ってないのか、この学校の七不思議のひとつだよね」
「さっきだってさ、せっかくエリーが百合ちゃんの手作り弁当を推してたのに、岩ちゃん全然いかないから」
「……そういうのはいつか自分から言うし」

一気にその場が鎮まる。
いつもはここで岩田が否定してくるのだが、ようやく彼も素直になってきたのだろうか。

「なんだよーほんっと岩ちゃんって、名前の通り頑固だよなー」
「オレの苗字は“いわた”だけど」
「まぁまぁこれからもサポートしてやるから」
「だからそういうのいいってば」

好きな女の子の前では素直になれない彼を、どこか親のような気持ちで見守る仲間たちであった。

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