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「うおおお…何ごとだぁ!?」

授業も終わり、帰りのHRも終わりさて帰るかと鞄を持ち上げ教室を後にしようと扉を開けた瞬間。お茶子の声が響き渡る。それもそうだろう。扉を隔てた向こう側…つまり廊下には人、人、人…他のクラスの生徒たちが群がって我先にとA組を覗き込んだり携帯で写真を撮ったりしている。
他クラスのようだが、まるで壁のように群がる生徒らに「これみんな照己の追っかけか?」と引いた目を向けてくる峰田にそんなわけないと静が戸惑いながら即答すれば「敵情視察だろザコ」と爆豪が静と峰田の間を通り過ぎながら吐き捨てれば、峰田は何食わぬ顔で扉に向かう彼の背を指差し、行き場のない怒りを抑えながら緑谷に目で訴える。
なんなんだあいつと。緑谷が困惑しながらもあれがニュートラルなのと峰田を宥めていた。

「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてえんだろ――意味ねェからどけ、モブ共」
「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!!」

常に煽っていくタイプの爆豪に飯田が奇妙な動きをした手をビシッと向けながら指摘する。彼らしいといえばそうなのだが、もっと言い方があるだろう。群がる中からひとり「どんなもんかと見にきたが、ずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴はみんなこうなのかい?」と言う男の声がした。
声の主は人混みを掻き分け爆豪の前に佇み、掴みどころのない雰囲気を醸し出しながら目を向けてくる。不気味な三白眼は相澤と同じような、無気力そうな目。爆豪があからさまに苛立った表情を浮かべ、飯田と緑谷が必死に顔と手を左右に振り、二重の意味で待てを示した。

「こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ。
普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴、結構いるんだ――知ってた?」
「?」
「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ・・・」

つまり少なくとも目の前の彼は、そのチャンスを掴もうとしていると見ていいだろう。

「敵情視察? 少なくとも俺は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」

そして今度はまた別の方向でグイッと人ごみの上から飛び出すようにして身を乗り出した少年の声が飛んでくる。

「隣のB組のモンだけどよぅ!!敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!!エラく調子づいちゃってんなオイ!本番で恥ずかしい事んなっぞ!」

また不敵な人がきたなと誰もが同じ感想を持った中、誰もがとあるひとりの様子を窺う。導火線の短い男、爆豪勝己。これまでを思い返せば、大胆不敵に宣戦布告してきた彼らと喧嘩を始めても可笑しくない。
最初の彼との温度差が激しい男子生徒の勢いに被せてくるやもしれない。
固唾を飲んで様子を窺っていれば、爆豪は無言で群衆を掻き分け始めた。帰るつもりだ。どうなることやらとひやひやしたが、どうやら杞憂に終わるようだ。
しかし、この一連の流れで先程よりも人が増えたようにも感じる。

「待てコラどうしてくれんだ、おめーのせいでヘイトが集まりまくっちまってんじゃねえか!!」

切島の言い分は最もかもしれない。しかし「関係ねえよ・・・」と爆豪の低い声が発せば、切島は意味がわからないと言いたげに声を上げた。爆豪の鋭い目付きが群衆に向けられる。

「上にあがりゃ関係ねえ」

彼は至って冷静だ。燃えるようなサンストーンに映るのは、ただひとつの目標のみ。
彼に感化されるように先程まで批判の声をあげていた切島は「シンプルで男らしいじゃねえか」と身体を震わせ感動している。
隣にいる常闇も「一理ある」と同調し、砂藤も「言うね」と感心しているところに上鳴ただひとり「騙されんな! 無駄に敵増やしただけだぞ!」と正論を唱えていたが。

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