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時間というのはあっという間に過ぎ去るもので。いつものように朝起きて、授業して、帰って、寝てを何度か繰り返している内に気付けば、体育祭当日。
「コスチューム着たかったなぁ」
「公平を期すため着用不可なんだよ」
1年生ステージのスタジアム内控え室で入場を待つA組生徒たち。
外では花火が上がり屋台も出ていて祭り気分が盛り上がっている。父兄、一般観客、プロのスカウトマンも大勢来ていることだろう。毎年種目の違う体育祭は直前まで競技内容は知らされない。生徒たちは何やんのかなとワクワク開始時間を待った。
「みんな準備は出来てるか!?もうじき入場だ!」
時計を見上げ飯田が声を上げる。
朝から緊張の止まらない緑谷はもうすぐ入場の言葉に更に身震いして何とか気持ちを落ちつけようとしていた。
去年まではテレビで見ていた夢の舞台に自分たちが立つなんて。緊張しないわけがない。
「緑谷」
一人そわそわし通しの緑谷に声をかけたのは轟。
「轟くん……、何?」
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へ!? うっ、うん……」
轟の声はそう大きくはないが、声をかけられた緑谷だけでなくクラス中が振り返る。
推薦1位の実力者である轟は普段の授業でも成績がいいことは十分に分かっている緑谷だったが、彼はどこか近寄りがたい雰囲気もあり緑谷はいまだまともに話したことはなかった。
そんな彼が自分に話しかけてくる理由など考えもつかず、何事かと驚いた。
「おまえ、オールマイトに目ぇかけられてるよな。べつにそこ詮索するつもりはねぇが、お前には勝つぞ」
「おお!?クラス最強が宣戦布告!!?」
轟の発言に上鳴がちゃちゃを入れるが、それを一番疑問に思っているのは緑谷自身。
何故、轟が、そんなことを自分に。
「急にケンカ腰でどうした!?直前にやめろって……」
「仲良しゴッコじゃねぇんだ、何だって良いだろ」
和やかだったクラスのムードが轟の行動で急に神妙めいて切島が仲裁に入るも、轟は肩に置かれたその手を撥ね退けた。
「轟くんが何を思って僕に勝つって言ってんのか……は、分かんないけど……、そりゃ君の方が上だよ。
実力なんて大半の人に敵わないと思う……。客観的に見ても……」
「緑谷もそーゆーネガティブなこと言わねぇ方が……」
「でも、みんな……他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって……」
当初、緑谷はどこか、この体育祭の盛り上がりについていけていない部分があった。
けどクラスの盛り上がりが日に日に上がっていき、クラスメイトたちが真剣にこの体育祭という舞台に懸けている心情を目の当たりにし、他の科の生徒がA組まで敵情視察に来たりする姿を見て、考えを改めた。
「遅れを取るわけにはいかないんだ。僕も本気で獲りに行く!」
強く言いきる緑谷の言葉にクラス中の気持ちが引き締まる。
そこに「間もなく入場」のアナウンスが流れ生徒たちは気合を入れて立ち上がった。
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