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ワーワーと反響するスタジアム内の中央に作られた舞台に両ゲートから緑谷と普通科の心操人使が入場する。
熱狂の中、開始される第1回戦。
スタートと同時に動き出したのは緑谷だったが、すぐに足を止め、そのまままったく身動きしなくなった。心操の個性なのか、場外まで歩けという言葉をそのまま聞き入れ緑谷はうしろを向き歩きだす。
「ああ、せっかく忠告したってのに……!」
観客席にいた尾白が立ち上がって頭を抱える。
心操の個性「洗脳」で体を操られているらしい緑谷は、まっすぐ場外へと歩いていく。もう1メートルもない所まできて、勝負は決したかに思えた。
しかし寸でのところで緑谷は爆風を巻き上げ足を止める。
何ごとか、見守る観客も対戦相手の心操も理解できないでいる中、緑谷は洗脳を解き場外ラインの手前で再び心操に対峙した。
緑谷の個性「超パワー」で指を暴発させそのショックで洗脳を解いた。
その後は洗脳を回避し操られることなく緑谷は心操に掴みかかり場外へ投げ飛ばし勝利、2回戦進出を果たした。
続く2回戦、轟VS瀬呂。開始早々に仕掛けた瀬呂は個性「セロハン」で肘からテープを飛ばし轟を拘束、場外へ投げ飛ばそうとしたが轟の「氷結」が爆発。
瀬呂のみならず会場ごと飲み込みかねない莫大な氷結を放出、瀬呂は氷漬けにされ身動きも取れず1回戦敗退となった。
あまりに瞬間的・圧倒的な負け具合に観客席からドンマイコールが送られる。
「ダメだ、ありゃ勝てる気がしねぇや……」
「やっぱ轟が優勝かなぁ」
あらゆる個性を持ったA組内でもトップクラスの力を持つ轟は、そのあまりに強い個性で第一種目から常に上位を獲り総合優勝も確実視される。
生徒たちだけでなくプロヒーローまで息を飲み轟焦凍という存在を認知させられた。
自ら発した氷を、もうひとつの力「燃焼」で溶かしていく轟。
あれだけの力を発揮したとは思えないほど、その姿は静かなものだった。
舞台が乾いた頃、第三戦が開始され、A組上鳴VS.B組塩崎茨の試合が始まった。始まったがすぐに終了。上鳴の個性「電気」も「ツル」を操る塩崎にまるで歯が立たず瞬殺された。
続く第四戦、遂に静の試合がやってきた。
「ザ・中堅って感じ!?ヒーロー科飯田天哉 VS 我等がマドンナ!同じくヒーロー科照己静!スタート!」
仲間として、そして同じくヒーローを目指すライバルとして負けられない一戦。
スタートの合図と共に飯田は真っ直ぐ静の方へ向かってきた。飯田の個性「エンジン」はこの試合場でもその広さは関係なく、相手の懐に素早く入り込めるだろう。
しかし、
《う、浮いたぁあああ!!照己静!個性を使って加齢に宙に浮く!その姿はまるで地上に舞い降りた天使だぁああ!!》
《何言ってんだお前》
それは相手が地上に足を付けていればの話。
「テレキネシス」で自身を浮遊させている間、地上を走る飯田の攻撃は静に及ぶことはない。
「くっ!やはり浮遊するか!しかし、その技は長時間持続するには限界があるんじゃないか!?」
そう。確かに長時間の浮遊はできない。ただ単に小さな物体の動きを操れるだけなら体力はあまり消費しないが、人のように重量がかかるとなるとそれだけ消費が激しくなる。いくら静が身軽でも一定時間浮遊は難しい。どこかで再び着地しなければ体力切れとなってしまう。
恐らく飯田はそこを狙っているのだろう。静が再び地に足を付けたところで一気に決めてくる筈だ。
「それなら…そうなる前に、私が決めるだけです」
静がスッと手をかざした。飯田の身体全体にオーラを張り、捕える。
「なっ…!自分だけじゃなく、僕まで!?」
「…すみません、両方はできないとは言ってなかったですよね」
飯田が走っていた方向へ向かって勢いよく、しかし相手が傷つかない程度に場外へと押し出した。
《飯田君場外、二回戦進出照己静さん!》
正直飯田の動きの早さから、焦点を捕らえられるか不安だったが上手くいってよかったと静はホッと胸を撫で下ろす。
「完敗だ。悔しいが…今度は勝つぞ!照己くん!」
「私も、です」
静は無事、一回戦を突破することができた。
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